OpenID Foundation DADE CG 活動レポート (2024年11月)
執筆日: 2026-05-19(2024 年 11 月の活動を遡及してまとめたレポートです)
1. 概要
Death and the Digital Estate Community Group(以下「DADE CG」)は、個人の死亡または機能喪失時に自身のデジタルデータをどう取り扱うかを当事者が指定できる枠組みを整備するため、技術・法律・文化面の要件とユースケースを洗い出す OpenID Foundation の Community Group である。OpenID Foundation Board は 2024 年 9 月に CG 憲章を承認しており、共同議長は Dean H. Saxe(Beyond Identity)、Eve Maler(Venn Factory)、Mike Kiser(SailPoint)の 3 名が務める。
2024 年 11 月は CG 発足 2 か月目で、(1) 11 月 15 日に最初の kickoff コール開催、(2) GitHub リポジトリの OpenID Foundation 配下への移管完了、(3) CONTRIBUTING.md の整備と最初のユースケース/ドキュメント Issue・PR の起票 という、運営基盤の最低限を整える「立ち上げ実務月」となった。
メーリングリスト(openid-digital-directives)の 11 月投稿は計 5 件(kickoff リマインダー、アジェンダ告知、議事録通知、Ross Drummond の Participation Agreement 受理通知、Weekly GitHub digest)で、いずれも CG 運営連絡または GitHub 活動の通知であり、ML 上で技術討議型のスレッドはまだ立っていない。一方で GitHub 側では Issue 5 件・PR 3 件が 11 月内に新規作成され(うち PR #14 と PR #19 が 11 月中にマージ)、Dean Saxe による「Apple のレガシーコンタクトを最初の具体例として文書化する」流れと、Sean Miller(RSA)・George Fletcher(Practical Identity)・Hideaki Furukawa らメンバーによる ユースケース Issue の最初の持ち寄り が起きている。議事録は 11 月 15 日コール分のみ GitHub wiki に公開されている。
CG 発足 2 か月目の DADE CG の動きを一言で表現すると、「ドキュメントレイヤから始める」アプローチが明確になった月、と整理できる。すなわち、いきなりプロトコル仕様の策定に向かうのではなく、(a) 主要プロバイダのレガシーコンタクト仕組みを 1 サービスずつ Markdown ファイルとしてリポジトリに蓄積する ことと、(b) ユースケースを構造化された Issue として Use Case ラベル付きで蓄積する ことの 2 軸が、本月で運営パターンとして立ち上がった。
2. 公開された仕様・ドラフト改訂
DADE CG は OIDF の正式な仕様策定 WG ではなく Community Group であり、Final Specification や Implementer's Draft の発行対象ではない。憲章でも「DADE はプロトコルを策定しない。将来の標準化作業の基礎となりうるユースケースとデータフローを提供する」ことが明示されている(CG ページ より)。
2024 年 11 月時点で公開されたドラフト本体・ホワイトペーパーは存在しない。その代わり、本月にリポジトリへ取り込まれたのは以下のドキュメント類である:
- PR #14「Create CONTRIBUTING.md」(2024-11-05 作成 / 2024-11-14 マージ、Dean Saxe)— OIDF GitHub への移管後、最初に main にマージされたファイル。コントリビューションの基本ルールを定める。
- PR #19「Create apple_US.md」(2024-11-16 作成 / 2024-11-24 マージ、Dean Saxe)— CG 発足以降で最初にマージされたコンテンツ PR。
legacy_contacts/ディレクトリとTEMPLATE.md、そして米国における Apple のレガシーコンタクト手順を記載するapple_US.mdを新規追加した。レビュアー Eve Maler(xmlgrrl)の指摘により「TEMPLATE.md は複数の管轄(country/jurisdiction)に対応できる構造に揃える」方向で文言が調整された(PR #19 より)。
PR #19 のマージにより、後続の github_US.md / facebook_US.md / linkedin_US.md / google_workspace_US.md / 1password_US.md を束ねた PR #21「Create legacy contact pages」 が 11 月 24 日に Dean Saxe によって新規 PR として起票されている。PR #21 自体のマージは 12 月 13 日であり、11 月末時点では Open 状態でレビュー継続中である。
3. ミーティングと議論
DADE CG は 2024 年 11 月に 1 回の定例コール(11 月 15 日)を開催した。11 月 29 日に予定されていた 2 回目のコールは米国感謝祭ホリデーのため事前に中止が決まっており(11 月 15 日コール議事録より)、本月のコールは kickoff 回 1 本のみである。
| 日付 (2024 年) | 曜日 | 時間 | 議事録 |
|---|---|---|---|
| 11 月 15 日 | 金 | 7:00 AM PST | GitHub wiki |
11 月 15 日 kickoff コール(金曜 PT 07:00)
- 参加者(15 名): Dean Saxe(Beyond Identity)、Eve Maler(Venn Factory)、Mike Kiser(SailPoint)、Aaron Parecki(Okta)、Lorrayne Auld、Hideaki Furukawa、Gareth Narinesingh、Grace Klutke、Sophia Maler、Mark Haine、Jade Young、Stefan Leigland、Bjorn Hjelm、Debbie Mac、Shizuka Takahashi
kickoff コールとしては 15 名参加と立ち上がりとしては手堅い人数。後の 12 月 13 日コール(11 名)と比べてもピーク参加者数の月となっている。
議題 1: 共同議長確認と GitHub リポジトリ移管
CG 憲章で共同議長として指名された Dean Saxe・Eve Maler・Mike Kiser の 3 名が改めて確認され、3 名いずれも OIDF 配下に移管された GitHub リポジトリの admin アクセスを保持していることが共有された(議事録 2024-11-15 より)。リポジトリは既に github.com/openid/death-and-the-digital-estate として OIDF 名前空間下に存在しており、本コール時点で CONTRIBUTING.md(PR #14、11 月 14 日マージ)がコール前日に取り込み済みであった。
議題 2: ミーティングスロットの非対称性
現行スロット(金曜 PT 07:00)が EMEA にはかろうじて参加可能だが APAC には実質不可能 という構造的問題が早くも本コールで提起された(議事録 2024-11-15 より)。共同議長 3 名は「APAC 配慮の第 2 スロット候補を持ち帰り検討する」を action item として確認している。本論点はそのまま 12 月 4 日に Dean Saxe が ML へ告知する「水曜 23:00 GMT スロット新設」、12 月 13 日コールでの正式採択へと連なる伏線となる。
加えて、11 月 29 日コールは米国感謝祭のため事前にキャンセル、次回は 12 月 13 日(隔週運用)であることが議事録に明記された。
議題 3: 憲章レビューと 7 つの deliverables
コール中盤では CG 憲章で挙げられた 主要な deliverables がレビューされた。議事録から再構成すると、以下の項目群である:
- 主要プラットフォームにおけるデジタル遺産管理の 現状(state of the art) のドキュメント化
- デジタル遺産整理を経験した個人の 経験談 の収集
- 各国・各地域の 法規制・政府規制 のドキュメント化
- ユースケース の体系的収集
- 既存の法・規制でカバーされているため DADE CG の作業範囲外となるユースケース の特定とドキュメント化
- 委任された権限(delegated authority) に関するロールと用語の定義
- 将来のメカニズム整備に向けた 高位データフロー の整理(プロトコルそのものは作らない)
- 一般市民向けの 教育リソース 整備
参加者からは関連する既存制度として、米国の RUFADAA(Revised Uniform Fiduciary Access to Digital Assets Act) が金融アカウントに関する法整備の例として言及され、Dean Saxe と Eve Maler から「他の業界・分野で既に整備されている領域には踏み込まない」という非ゴール方針が示された。また Mark Haine から英国の Online Safety Act(提案中)にコロナー(検視官)による故人データの保持要請に関する規定が盛り込まれていることが共有され、Eve Maler から UMA の同僚である Nancy Lush(Patient Centric Solutions)が医療領域の Advanced Directives(事前指示書)に関するアプリケーションフローを構築している旨が紹介された(議事録 2024-11-15 より)。これらの言及は「DADE が一からスキームを発明するのではなく、各業界・各管轄に存在する先行スキームを参照点として整理する」という基本姿勢を本月時点で確認するものである。
議題 4: 基礎原則と非ゴールの明示
議事録には「foundational principles」として respect(敬意)、empowerment through consent / choice(同意ないし選択による主体性の確保。"consent" を "choice" に変更する案がコール中で示された)、interoperability / accessibility(相互運用性と可用性) の 3 点が確認されている。同時に、CG として 既存の法的枠組みが確立している金融アカウント等の領域はスコープ外 であること、また CG 自体は新規プロトコルを策定しない ことが確認された(議事録 2024-11-15 より)。
議題 5: 個別シナリオの初期議論
コール終盤では具体的シナリオの議論が行われた。議事録から確認できる範囲では:
- 日本の銀行が提供するパスワード管理サービス(Hideaki Furukawa 発言)— 加入者の死亡時に家族が登録パスワードを参照して各種サービスへアクセスできる仕組みの紹介
- 故人のスマートフォンを通じた SNS 上の代理コミュニケーション(友人の死後、その配偶者がスマートフォンへの物理アクセスを介してソーシャルメディア上で本人代わりに発信した事例)
- 暗号資産の死後継承の困難さ(Dean Saxe が Identiverse パネルに招聘交渉中の法律専門家から得た助言として、暗号資産は死前に取得しておくのが事実上唯一の現実解、という現状認識を共有)
- 医療領域の Advanced Directives の運用フロー(Eve Maler が UMA 同僚 Nancy Lush をゲスト招聘してデモする案を提示)
アクションアイテム
議事録から再構成すると以下である(議事録 2024-11-15 より):
- 共同議長 3 名: グローバル参加を改善するための 第 2 ミーティングスロット候補 を持ち帰り検討(→ 12 月 4 日 ML 告知、12 月 13 日コールで正式決定)
- メンバー全員: 利用中の主要サービスについて 現状のレガシーコンタクト仕組み を文書化する PR の持ち寄り(→ Dean Saxe が PR #19 / PR #21 で先行実装)
- 共同議長: ヘルスケア分野の Advanced Directives のワークフローをデモするため、Nancy Lush をゲスト招聘 する打診を実施
4. メーリングリストの主要スレッド
openid-digital-directives ML(2024 年 11 月アーカイブ)の 11 月投稿は 計 5 件。技術討議型のスレッドは月内にゼロで、すべて CG の運営連絡または GitHub 活動の自動 digest である。発足直後で議論の主舞台がコール本体と GitHub Issue/PR に集約されている、CG 立ち上げ期に典型的な ML 利用パターンとなっている。
4.1 REMINDER: OIDF Death and the Digital Estate (DADE) Community Group Kicks Off this Friday, November 15th — 2024 年 11 月 13 日(Mike Leszcz)
OpenID Foundation の Operations Director である Mike Leszcz から、11 月 15 日 7:00 AM PT に最初の kickoff コールを開催する旨のリマインダー。Zoom リンクと CG ページ URL を再掲し、参加には Participation Agreement の署名が必要であることを明示している。kickoff の 2 日前に届く事務リマインドで、本投稿自体に技術討議の要素はない。
4.2 DADE CG Meeting Agenda for November 15, 2024 — 2024 年 11 月 14 日(Dean Saxe)
kickoff コール前日に Dean Saxe が ML にアジェンダ告知を投稿。本文で「I have created an agenda for tomorrow's first DADE CG meeting and published it in our GitHub wiki.」と述べ、以後の標準運用として アジェンダは事前に wiki に掲載し、議事録もコール後 wiki に公開する という方針を宣言している。アジェンダ本体は GitHub wiki に分離されているため ML 本文では具体的議題は読み取れない構成で、これは以後の DADE CG の標準アジェンダ告知書式として定着していく。
4.3 Meeting minutes - November 15, 2024 — 2024 年 11 月 15 日(Dean H. Saxe)
kickoff コール終了直後の議事録公開通知。本文は wiki 議事録 URL の提示のみの短文で、ML 上には議事録本体は含まれない。この「議事録は wiki にあり、ML には URL のみ通知」というパターンも、以後 DADE CG の標準書式として定着する。
4.4 OIDF DADE CG: Ross Drummond's Participation Agreement — 2024 年 11 月 21 日(Mike Leszcz)
Mike Leszcz から、Ross Drummond の Participation Agreement を処理し、CG ML 上で unmoderated post 権限を付与した旨の通知。DADE CG は OIDF 配下の Community Group としての標準的な参加プロセス(Participation Agreement 署名 → ML/Slack/GitHub アクセス)を踏襲しており、この種の 個別メンバーの参加処理通知 は ML 上で都度告知される運用となっていることがわかる投稿。
4.5 Weekly github digest (DADE Activity Summary) — 2024 年 11 月 24 日(Repository Activity Summary Bot)
Aaron Parecki 管理の openid-activity@aaronpk.com から自動配信される週次 digest の本月初配信分。配信時点(11 月 24 日)の前週分(おおむね 11 月 17 日〜 11 月 23 日)の活動として、以下が記録されている:
- 新規 Issue: #20「Apple Legacy Contacts - Federation of multiple iCloud accounts?」(Dean Saxe)
- 新規 PR: #21「Create legacy contact pages」(Dean Saxe)
- 既存 Issue へのコメント: #18「Document known mechanisms for legacy contacts on large platforms」に Dean Saxe から 1 件
- PR への新規コメント: #19「Create apple_US.md」に Eve Maler(
xmlgrrl)から 1 件 - マージされた PR: #19「Create apple_US.md」
11 月内で ML 上に立った唯一の能動的サマリ投稿であり、ML 購読者が GitHub 上の細粒度の動きを追うための 代替的可視化チャネル として、本月から digest 投稿が機能し始めたことを示す投稿である。
4.6 ML 投稿数の解釈
11 月の 5 件は CG 発足月としては最小限の運営連絡量。純粋な人手投稿は 4 件(Mike Leszcz 2 件、Dean Saxe 2 件)に限られ、いずれもコール運営または個別参加処理。ML を技術討議の主舞台にはせず、GitHub Issue/PR と HackMD/wiki に議論を集約する という DADE CG の運営スタイルが、本月時点で既に明確に表れている。
5. GitHub 上の議論
openid/death-and-the-digital-estate リポジトリの 2024 年 11 月の活動状況:
- 新規作成された Issue: 5 件(#16, #17, #18, #20、加えて Use Case Issue 1 件 #15)
- 新規作成された Pull Request: 3 件(#14, #19, #21)
- 11 月内にマージされた Pull Request: 2 件(#14, #19)
- Wiki ページ: 2024-11-15 Agenda および Minutes の 2 ページが新規追加
11 月 5 日に最初の PR(#14)が作成されてから、11 月 24 日の PR #21 起票までの 3 週間で、CG リポジトリの 基礎レイヤ(CONTRIBUTING.md / TEMPLATE.md / legacy_contacts ディレクトリ構造) がひととおり整備された。発足月としてはむしろ高密度の活動量で、12 月以降の安定運用に向けた助走がほぼ完了している。
5.1 openid/death-and-the-digital-estate#14 - Create CONTRIBUTING.md
- 作成: 2024-11-05、Dean Saxe(
deansaxe) - マージ: 2024-11-14、Dean Saxe
- 状態: Merged
OIDF GitHub への移管後、リポジトリに最初に取り込まれたファイル。コントリビューション基本ルールを定める CONTRIBUTING.md を追加するもの。レビューなしで Dean Saxe 自身によりマージされており(CG 共同議長としての admin 権限による運営整備)、kickoff コール(11 月 15 日)の前日に取り込まれたことで、コール当日の議題から「リポジトリの基礎整備状況」を外す位置づけになっている。
5.2 openid/death-and-the-digital-estate#15 - [Use Case] Surviving family member needs to cancel a subscription access via an account of the deceased person
- 起票: 2024-11-08、George Fletcher(
gffletch、Practical Identity) - ラベル: Use Case
- 状態: Open
CG 発足以降に 共同議長以外のメンバーから起票された最初の Use Case Issue にあたる。問題提起の中心は「故人名義のアカウントに紐付いた 継続課金サブスクリプション(例: 月次の医療補助製品)の解約」シナリオで、特に OTP(ワンタイムパスワード)が故人の電話に送信される構造 によって、家族による解約手続きが事実上ロックされる点を論点として提示している(Issue #15 本文より)。
George Fletcher は本シナリオで「故人が生前に物理的に端末アクセスを家族に共有していたためたまたま OTP を取得できたが、この前提が成立しない一般ケースでは、サービス提供者への電話 → 死亡証明書提示 → アカウント解約という重い手続きが避けられない」と整理。そして「既存アカウントを 新規アカウントに作り直すしかない という運用上の冗長性」を、本ユースケースが標的とする課題として記述している。後の Authority claims 議論や Shared Signals Framework 活用案(2025 年 1 月以降)の出発点のひとつとなる Issue である。
5.3 openid/death-and-the-digital-estate#16 - [Use Case] Business Continuity
- 起票: 2024-11-08、Sean Miller(
seanmillerrsa、RSA) - ラベル: Use Case
- 状態: Open
Sean Miller による 業務継続性(business continuity)視点 の Use Case Issue。故人がビジネス上の意義を持つアカウントやデジタル資産を保有していた場合、生存する業務パートナー・同僚が共有リソースへアクセス・修正・再委譲する必要がある、というシナリオを扱う。Issue 本文では以下の論点が提示されている(Issue #16 本文より):
- 非対称な権限構造: 同僚は閲覧はできるが「修正・他者への共有」は作成者本人のみに限定されている SaaS の多くで、故人の死により管理権限が誰にも引き継げない状態が発生する
- 事前カテゴライズの不在: デジタル資産が「業務用」「個人用」とビジネス上分類されていない場合、誰が正当な承継者であるかを死後に決定するのが困難
- 遺言執行者経由の処理: 遺言の executor が未整理のデジタル資産にアクセスして適切に再配分する案が提示されているが、これは組織側が故人のデジタル保有資産の完全なインベントリを提供できることが前提となる
DADE CG の Use Case 群が「個人のソーシャル・通信領域」だけでなく「雇用者・取引先を含む組織的文脈」にまで広がることを示した最初の Issue で、後の Authority claims 議論(2025 年)における雇用主・組織のロール定義に寄与する。
5.4 openid/death-and-the-digital-estate#17 - Create a wiki page for DADE Resources
- 起票: 2024-11-14、Dean Saxe(self-assigned)
- ラベル: To Do
- 状態: Open
kickoff コール前日に Dean Saxe が起票した、wiki リソースページの整備 を planning する Issue。「現状散在しているリソース類を、CG 参加者が発見しやすい場所に整理する」ことが目的で、後の Resources wiki ページの整備(および 12 月 13 日コールでの wiki ボランティア再募集議論)の起点となる。
5.5 openid/death-and-the-digital-estate#18 - Document known mechanisms for legacy contacts on large platforms
- 起票: 2024-11-16、Dean Saxe
- ラベル: documentation, legacy contacts, question
- 状態: Open
CG 発足以降で 「現状の state-of-the-art」軸の deliverable に直接対応する planning Issue。対象として Apple・Google・Microsoft・Facebook・Twitter・Bluesky と、1Password・Dashlane・LastPass などのパスワードマネージャの 既存レガシーコンタクト機能 を、1 プロバイダ 1 ファイルとして文書化する方針を示す(Issue #18 本文より)。
本 Issue は、その後の以下の実装 PR 群の親 Issue として機能する:
- PR #19「Create apple_US.md」(11 月 16 日作成・11 月 24 日マージ)— Apple の最初のサンプル
- PR #21「Create legacy contact pages」(11 月 24 日作成・12 月 13 日マージ)— github / facebook / linkedin / google_workspace / 1password の 5 ファイルを束ねた PR
Issue 自体は引き続き Open のまま、メンバー各自による追加 PR 持ち寄りを待つ運用となる。本 Issue の存在により「1 プロバイダ 1 Markdown ファイル」という DADE CG の文書化粒度が、本月時点で確定した。
5.6 openid/death-and-the-digital-estate#19 - Create apple_US.md
- 作成: 2024-11-16、Dean Saxe
- マージ: 2024-11-24、Dean Saxe
- 状態: Merged
- ラベル: documentation, legacy contacts
Issue #18 への最初の実装応答で、CG 発足以降で最初にマージされた実コンテンツ PR。Apple の米国向けレガシーコンタクト構成手順を apple_US.md として記載し、同時に汎用テンプレート TEMPLATE.md を追加した。
レビューで Eve Maler(xmlgrrl)が次のコメントを残している(PR #19 より):
The process might (have to) cover multiple countries/jurisdictions...Just use plural for that template prompt?
すなわち、ファイル名規約(apple_US.md)が米国のみを示唆するのに対し、実際のプロバイダのレガシーコンタクト手順は複数管轄を跨いで定義され得るため、TEMPLATE が単数前提になっているのを複数形に揃えるべきだ、という提案である。Dean Saxe はこの提案を受け、TEMPLATE.md の文言を複数管轄を許容する形に調整した。
このやり取りは「ファイル粒度 = 1 プロバイダ × 1 管轄」と「テンプレ粒度 = N 管轄を許容」を併存させる、後の DADE CG の Provider Legacy Contact ドキュメント運用の二層構造を初期に確立した重要なレビュー往復であり、11 月 24 日のマージにより以後の PR(#21 ほか)の雛形として機能することになる。
5.7 openid/death-and-the-digital-estate#20 - Apple Legacy Contacts - Federation of multiple iCloud accounts?
- 起票: 2024-11-24、Dean Saxe(
@xmlgrrlに調査を依頼) - ラベル: Use Case, Documentation, Legacy Contacts, Question
- 状態: Open
PR #19 マージ直後に Dean Saxe が起票した派生 Issue。問題提起は 1 ユーザが複数の Apple ID(典型的には iCloud メール)を保有している場合に、Apple のレガシーコンタクト機能はその全体を覆うのか という具体的不明点である(Issue #20 本文より):
- ユーザがしばしば 2〜3 個の Apple 関連メールアドレスを保持しているケースに、Apple のレガシーコンタクトプロセスはどう適用されるのか
- 全アドレスを包含するのか、それとも特定の 1 アカウントのみなのか
- Dean Saxe 自身は複数 Apple ID を持っていないため、Eve Maler に検証を依頼
ファイル apple_US.md の単純な内容追記では解消しない、プロバイダ側の identity model の構造的不確定性 を明示的に切り出した Issue で、DADE CG の文書化作業が「単なるマニュアル転記」では済まないことを早期に可視化した点で意義がある。
5.8 openid/death-and-the-digital-estate#21 - Create legacy contact pages
- 作成: 2024-11-24、Dean Saxe
- 11 月末時点の状態: Open(マージは翌 12 月 13 日)
- ラベル: documentation, legacy contacts
11 月内では Open のまま継続中。本 PR は PR #19 で確立した 1 プロバイダ 1 ファイル粒度を踏襲し、github_US.md / facebook_US.md / linkedin_US.md / google_workspace_US.md / 1password_US.md の 5 ファイルを束ねて段階的に追記する 増分マージ型 の運用が PR 本文で宣言された("As I add legacy contact pages for services I use, I'll document the processes and add a few to this PR before merging."、PR #21 より)。
11 月末時点でレビュアー Sean Miller(RSA)から Apple のレガシーコンタクト発動条件についての質問が既に投げ込まれており、Dean Saxe が「事前 recovery key 配布 + 死亡証明書を伴うプル取得」が Apple 仕様だと整理して回答している。マージ自体は次月(12 月 13 日コール当日)に持ち越される。
6. 関連イベント
CG 内部イベント(2024 年 11 月内)
- 11 月 15 日 kickoff コール(金曜 PT 07:00)— CG 発足以降で最初の定例コール
- 11 月 29 日コール: 米国感謝祭ホリデーのため事前に中止(kickoff コール議事録より告知済み)
外部カンファレンス・登壇
2024 年 11 月期間中に、DADE CG として明示的にラインアップされた外部カンファレンス登壇・パネルは確認できなかった。CG 発足 2 か月目で対外発信フェーズには未到達であり、本月時点の対外接点は CG ページ自体と kickoff コールの ML 告知 に限られる。
openid.net 公式アナウンス
11 月期間中に DADE タグ付きの openid.net 公式ブログ投稿は確認できなかった。CG ページ(openid.net/cg/death-and-the-digital-estate)は既に公開済みで、共同議長一覧・ミーティングケイデンス・Zoom 参加リンク・Participation Agreement の要件などを提供している。
7. 今後の予定(2024 年 11 月末時点の視点)
11 月末時点で DADE CG が見据えていた当面の予定:
- 2024 年 11 月 29 日: 米国感謝祭のため中止確定
- 2024 年 12 月 13 日: 金曜 PT 07:00 スロットでの次回コール(kickoff から 4 週空ける)
- APAC 配慮スロットの新設検討: 共同議長 3 名が候補時間を持ち帰り。12 月コールで決定見込み
- 継続課題:
- PR #21(5 プロバイダ分の legacy_contacts ページ)のレビューとマージ
- Issue #18「Document known mechanisms for legacy contacts on large platforms」への追加 PR 持ち寄り(メンバー各自が自身利用サービスを 1 つずつ追加する分散運用)
- Issue #20(Apple ID フェデレーションの不確定性)の Eve Maler による検証
- Issue #17(Resources wiki の整備)の実作業ボランティア募集
- Use Case Issue(#15「subscription cancellation」、#16「business continuity」)への議論集中
- Nancy Lush(ヘルスケア領域の Advanced Directives 専門家)のゲスト招聘交渉
- 米国中心バイアスへの自覚と国際的コントリビューション募集: kickoff コールで RUFADAA・Online Safety Act 等が言及されたものの、現状ドキュメントは米国中心であり、国際メンバーの追加 PR が必要
8. 参考情報源
- DADE CG - OpenID Foundation — CG 概要、共同議長、ミーティング・ケイデンス、Zoom 参加リンク、Participation Agreement 要件
- DADE CG GitHub Repository — リポジトリ本体
- DADE CG GitHub Wiki - Resources — Meeting Notes 一覧
- 2024-11-15 Agenda — kickoff コール事前アジェンダ
- 2024-11-15 Minutes — kickoff コール議事録(本月唯一)
- openid-digital-directives ML 2024-November アーカイブ — 11 月の ML 投稿一覧(計 5 件)
- REMINDER: DADE CG Kicks Off this Friday (#000002) — Mike Leszcz による kickoff リマインダー(2024-11-13)
- DADE CG Meeting Agenda for November 15, 2024 (#000003) — Dean Saxe によるアジェンダ告知(2024-11-14)
- Meeting minutes - November 15, 2024 (#000004) — 議事録公開通知(2024-11-15)
- Ross Drummond's Participation Agreement (#000005) — Participation Agreement 処理通知(2024-11-21)
- Weekly github digest (#000006) — 11 月 17 日〜23 日週の GitHub 活動サマリ(2024-11-24)
- Pull Request #14: Create CONTRIBUTING.md — Dean Saxe による OIDF 配下リポジトリへの最初の PR(2024-11-05 作成 / 2024-11-14 マージ)
- Pull Request #19: Create apple_US.md — CG 発足後で最初の実コンテンツ PR、TEMPLATE.md 同時追加(2024-11-16 作成 / 2024-11-24 マージ)
- Pull Request #21: Create legacy contact pages — 5 プロバイダ分の legacy_contacts ページの増分マージ型 PR(2024-11-24 作成、11 月末時点 Open)
- Issue #15: Surviving family member needs to cancel a subscription access — George Fletcher による初の外部メンバー Use Case Issue(2024-11-08 起票)
- Issue #16: [Use Case] Business Continuity — Sean Miller による業務継続性視点 Use Case Issue(2024-11-08 起票)
- Issue #17: Create a wiki page for DADE Resources — Resources wiki 整備 planning Issue(2024-11-14 起票)
- Issue #18: Document known mechanisms for legacy contacts on large platforms — 1 プロバイダ 1 ファイル粒度を確立する親 Issue(2024-11-16 起票)
- Issue #20: Apple Legacy Contacts - Federation of multiple iCloud accounts? — 複数 Apple ID 時の Legacy Contact 適用範囲の不確定性 Issue(2024-11-24 起票)
- HackMD DADE CG メモ — DADE CG のアジェンダ・補助ノート(HackMD 正本)
- 2024 年 12 月レポート — 翌月の続報(APAC 配慮スロット新設正式決定、PR #21 マージ、Issue #22〜#25 起票)