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OpenID Foundation DADE CG 活動レポート (2025年5月)

執筆日: 2026-04-28(遡及執筆)

1. 概要

Death and the Digital Estate Community Group(以下「DADE CG」)は、個人の死亡または機能喪失時に自身のデジタルデータに何が起こるかを選択する権利 を支える技術・法律・文化的要件とユースケースを整理する OpenID Foundation の Community Group である。共同議長は Dean H. Saxe、Eve Maler(Venn Factory)、Mike Kiser(SailPoint)の 3 名で、隔週の定例会(金曜 PT 07:00 と水曜 PT 15:00 を交互)を運営している。

2025 年 5 月の DADE CG は、10 月の Cybersecurity Awareness Month に向けた Planning Guide outline を初めて GitHub 上で立ち上げ、CyberSecAwarenessMonth ラベル付き Issue 群によるユースケース整理が一気に動き出した起点月 であった。5 月 7 日に Dean H. Saxe が PR #30(planning_guide_outline.md)を提出し、5 日間にわたる活発なレビューを経て 5 月 13 日にマージ。これが outline マージ直後の 5 月 16 日定例会で議論された複数の派生論点を、その日のうちに 6 件の Issue(#31〜#36)として一斉起票するという立ち上がり方を生んだ。Issue #35("benevolent impersonation" の用語が初登場)と Issue #36(高インパクト技術者アカウントの継承困難)はいずれも、後続月(6 月以降)の議論枠組みを規定する原典 Issue となる。

メーリングリスト(openid-digital-directives)の 5 月の投稿は 計 6 件(GitHub 週次ダイジェスト 3 件、outline 提案 1 件、議事録通知 1 件、新規参加自己紹介 1 件)にとどまり、議論の場は ML よりも GitHub PR レビュー・定例会・HackMD アジェンダに置かれていた。月末の 5 月 24 日には Jean Kaplansky が ML 上で自己紹介を兼ねて Empathy.com の実利用報告を予告し、これが翌月の Issue #40 起票につながる伏線となった。5 月 31 日には George Fletcher が配偶者死亡対応チェックリストを Issue #37 として共有し、Planning Guide の「reactive な executor」向け素材の最初期サンプルとなった。

2. 公開された仕様・ドラフト改訂

DADE CG は OIDF の正式な仕様策定 WG ではなく Community Group であり、Final Specification や Implementer's Draft の発行対象ではない。5 月の主要成果物は、10 月の Cybersecurity Awareness Month に向けた Planning Guide outline の初版策定とマージ であった。

Cybersecurity Awareness Month Planning Guide Outline(PR #30)

  • 提出: 2025 年 5 月 7 日(Dean H. Saxe、PR #30 Create planning_guide_outline.md
  • マージ: 2025 年 5 月 13 日(Dean H. Saxe 自身がマージ)
  • 対象ファイル: cybersecawareness2025/planning_guide_outline.md
  • 位置付け: Cybersecurity Awareness Month に合わせて公開する Planning Guide の章立て案。Dean Saxe は ML 投稿で「次の数回のミーティングでドキュメントの特定部分に時間をかけ、真夏(mid-summer)までにドラフト を作る方向で進めたい」と述べた(ML #000041
  • 想定リリース: Cybersecurity Awareness Month(10 月)に Foundation のホワイトペーパーと並んで公開

PR #30 のレビューで挙がった論点は多岐にわたる:

  • seanmillerrsa: outline 全体を「Great doc!」として承認
  • jeankaplansky: 高齢ユーザーがパスワードマネージャを使わずパスワードを変更しがちで、変更後に忘却する実態を指摘し、エンドユーザの技術習熟度の幅をどう前提化するかを問題提起
  • xmlgrrl(Eve Maler): 家族が物理ノートからパスワードを盗まれた事例を引用し、「何をすべきでないか」を強調すべきと提案
  • rkzack: アカウントリスト自体が機微情報であること(多くの人は 3〜4 個のパスワードを使い回す)を指摘し、暗号化された安全な保管庫に格納し受託者(fiduciaries)のみがアクセスできる運用を推奨
  • gffletch(George Fletcher): outline 内の節順(utilities が financial accounts より前にある点)に異論を唱え、revocable living trust(撤回可能生前信託) の概念を取り込む必要があるかを問うた
  • mdes206: 「死後デジタル人格(posthumous digital personhood)」の論点(AI による reanimation 防止、無断利用の防止)を含めるよう主張。「クリティカルな瞬間(死亡時)以外はアカウントアクセスを徹底防御し、その瞬間だけ通すという緊張関係」 を本質的論点として提示
  • deansaxe: ガイドは技術習熟者だけでなく多様なユーザの脅威モデルと習熟度を扱う必要があると応答

このレビューで吸い上げられた論点は、5 月 16 日に Dean Saxe を中心に 6 件の Issue(#31〜#36) へ分解・起票され(うち #31〜#34 は Dean Saxe が PR #30 のコメントを引用して起票、#35 は George Fletcher、#36 は Victor Lu が起票)、Planning Guide 改善の作業項目として可視化された(後述 §5 参照)。

Yahoo Recovery Process(PR #29)

  • 提出: 2025 年 5 月 2 日(Dean H. Saxe、PR #29 Yahoo recovery process
  • マージ: 2025 年 5 月 4 日(xmlgrrl)
  • 対象ファイル: yahoo_US.md
  • 内容: Yahoo の死亡アカウント対応プロセス URL を追加。情報提供は Gary Gwin
  • 位置付け: DADE リポジトリに 「主要プラットフォームのデジタル遺産機能カタログ」 を整備し始めた最初期の事例。後続の Google Inactive Account Manager(PR #41、7 月提出・8 月マージ)に連なる系統の出発点

3. ミーティングと議論

DADE CG は 5 月に 2 回の定例会を開催した。いずれも議事録が GitHub wiki 上で公開されている。

日付 (2025 年)曜日時間議事録
5 月 16 日7:00 AM PDTGitHub wiki
5 月 28 日3:00 PM PDTGitHub wiki

5 月 16 日定例会(金曜 PT 07:00)

  • 参加者(5 名): Dean H. Saxe(Beyond Identity)、George Fletcher(Practical Identity LLC)、Tim L、Przemek Praszczalek、Mike Kiser(SailPoint、ノートテイカー)

PR #30 のマージから 3 日後の定例会で、レビューで挙がった論点を実装可能な作業に落とし込む議論が行われた。

議題 1: デジタル遺産の発見(discovery)の困難

George Fletcher が、死亡後にデジタルフットプリント全容をどう発見するかという根本的問題を提起した。サービスプロバイダから予期しないメールが届く実体験を共有しつつ、email・SMS へのアクセスが発見の主要な手段 であるが、関係性が悪化していた場合や信頼関係が乏しい場合にこの手段が成立しないことを指摘した(議事録 2025-05-16 より)。

議題 2: Impersonation を発見手段として正当化できるか

参加者は 「impersonation(なりすまし)が依然としてデジタル資産発見の最良ツールの 1 つである」 という現状認識を共有しつつ、代替手段を議論した(議事録 2025-05-16 より)。この議論はそのまま、5 月 16 日のうちに起票された Issue #35("Breadth discovery of digital footprint")の本文にある "benevolent impersonation"(善意のなりすまし) という用語の正式導入につながる。

議題 3: AI による故人再現と法的論点(Yahoo 記事レビュー)

Yahoo 記事に紹介された「被害者が AI 化されて法廷で証言した」事例を題材に、以下のリスクが整理された:

  • 故人の 個人的同意(personal consent)と法的権利 の不在
  • 知的財産権・著作権上の含意
  • 家族が AI 再現を 「sock puppet」 として利用するリスク
  • アリゾナ州法における証拠採用可能性(admissibility)の問題
  • ディープフェイク制限の既存判例

参考文献として "Death Rights: Legal Personal Representatives of Deceased Authors and the Posthumous Exercise of Moral Rights" が引用された(議事録 2025-05-16 より)。

議題 4: リカバリ・アクセスの実務的課題

Przemek Praszczalek が以下の実務障壁を挙げた(議事録 2025-05-16 より):

  • パスワード保護されたドキュメントへのアクセス困難
  • デバイスベース認証のフェイル時の救済不在
  • モバイルのみのユーザー がログアウトイベント後にデバイス認証で詰まるケース
  • 家族向けリカバリガイド作成の必要性

議題 5: Cybersecurity Awareness Month Planning

Dean Saxe が PR #30 でマージされた outline ドラフトを共有し、コミュニティレビューと プルリクエストでの貢献 を呼びかけた。Identiverse パネル(後述 §6)への質問送付も併せて依頼された。

アクションアイテム

  • discovery breadth と OSS 監督に関する論点を Issue 化 → 同日中に Issue #31〜#36 が起票された
  • Identiverse パネル質問を Dean / Mike へ送付
  • Dean の Planning Guide outline をレビュー
  • Cybersecurity Awareness Month ガイドの改善余地を特定

「議事録で議論された論点をその日のうちに 6 件の Issue に分解する」という運用は、5 月時点で DADE CG が 議論の永続化を意識した GitHub 中心ワークフロー を確立しつつあったことを示している。

5 月 28 日定例会(水曜 PT 15:00)

  • 参加者(7 名): Mike Kiser(SailPoint)、Eve Maler、Miki Brotzler、Gary Gwin、Tim、George Fletcher、Victor Lu
  • ノートテイカー: Eve Maler

議題 1: Name, Image, and Likeness(NIL)と再現への同意

故人のデジタル再現に対する 同意要件(consent requirements) が議論された。Gary Gwin は Yahoo の cross-functional な対応(policy、inactivity protocols、法的要件)を例示し、俳優・演者領域の NIL 議論との接続点を指摘した。グループは 「ドキュメンテーションと署名(Documentation / signing)が essential」 であるという認識を共有した(議事録 2025-05-28 より)。

議題 2: Digital Power of Attorney(DPOA)と RUFADAA

Gary Gwin がデジタル世界における POA を新興領域として強調し、「米国の一部州では Revised Uniform Fiduciary Access to Digital Assets Act(RUFADAA)またはそれに類する法律が施行されている」 と紹介した(議事録 2025-05-28 より)。グループは、ホワイトペーパーで RUFADAA を強調すべき領域として確認した。RUFADAA は、後の 7 月 23 日の persona 議論で Personal Representative / Designated Recipient の役割定義の素材として再登場することになる。

議題 3: Impersonation の具体例(Apple エコシステム)

George Fletcher が Apple エコシステムにおける具体的事例 を共有した。システム設定上の理由でカレンダー登録が妻から発信されたものとして表示される現象が、benevolent impersonation のリスクの実例として議論された。Tim はアクセス制御の回避(circumvention)に関する懸念を引用した(議事録 2025-05-28 より)。

議題 4: ライセンスモデル(Eve Maler)

Eve Maler は、同意(consent)単独よりも ライセンス(licensing)の方が強い保護枠組みになり得る と提案した。

"Famous people can enforce licensing constraints better" (議事録 2025-05-28 より)

著名人はリソースと発見可能性の優位性によりライセンス上の制約を執行しやすい一方、一般ユーザにこの保護を機能させるには別の仕組みが必要、という論点が示された。

議題 5: Cybersecurity Awareness Month Planning と「maturity ladder」

Dean が outline をマージ済みであることを踏まえ、グループはピアレビューを継続することを確認。ガイドの方針として 「maturity ladder(成熟段階のはしご)」 アプローチが提案された。アドバイスは以下の 3 性質を併せ持つべきと整理された(議事録 2025-05-28 より):

  • dated(時点を明示)
  • jurisdiction-aware(管轄圏を意識)
  • modest in scope(過剰な約束をしない)

この「maturity ladder」「dated / jurisdiction-aware / modest」という枠組みは、後の 6 月 25 日定例会で確立される 「proactive な estate planner」と「reactive な executor」 の対象読者二分や「最初の 30 日 / 90 日の時系列義務リスト」の前段にあたる。

4. メーリングリストの主要スレッド

openid-digital-directives ML(2025 年 5 月アーカイブ)の 5 月の投稿は 計 6 件のみ。内訳は GitHub 週次ダイジェスト 3 件、outline 提案 1 件、議事録通知 1 件、新規参加自己紹介 1 件で、複数往復のあるディスカッション型スレッドは月内には発生しなかった。これは PR #30 のレビュー討議が GitHub 上で行われ、それ以外の議論が定例会と HackMD アジェンダに集約されていたことの帰結であり、DADE CG の活動低下を意味するものではない。

4.1 DADE Planning Guide outline — 2025 年 5 月 7 日(Dean H. Saxe)

PR #30 提出の ML 告知。Dean Saxe は以下を共有した:

  • DADE Planning Guide outline の初版を PR として提出した
  • ガイドは 個人ユーザ(individual users)向け であり、Cybersecurity Awareness Month に Foundation のホワイトペーパーと並んで公開予定
  • 「次の数回のミーティングでドキュメントの特定部分に時間をかけ、真夏(mid-summer)までにドラフト を作る方向で進めたい」

これが DADE CG の 2025 年下期成果物計画を ML 上で初めて公的にコミットした投稿である。

4.2 Meeting Notes - May 16, 2025 — 2025 年 5 月 20 日(Dean Saxe)

5 月 16 日定例会の議事録通知。投稿本文では、参考文献としての "Death Rights: Legal Personal Representatives of Deceased Authors and the Posthumous Exercise of Moral Rights" が紹介され、Cybersecurity Awareness Month Planning Guide の OIDF ボードレビューに向けた 9 月デッドライン が初めて明示された。Identiverse パネルへの Elizabeth Wharton(Silver Key Strategies) の参加予定もこの投稿で共有されている。

4.3 An interesting turn of events — 2025 年 5 月 24 日(Jean Kaplansky)

Jean Kaplansky による自己紹介と研究テーマ提案。要点:

  • アイデンティティ・アクセス管理の専門家、出版・図書館学のバックグラウンド
  • 父親の介護と看取りを経て、ニューヨークに転居
  • 遺産整理の過程で生命保険に Empathy.com の付帯特典を発見 し、「故人の遺産(デジタルアカウント含む)管理のチェックリストを提供するサービス」として実利用したことを共有
  • 同種サービスの動作を調査研究するテーマを提案。GitHub Issue で扱う形にしたいので CG の意見を求める
  • 求職中のため余裕があり、本研究のリードを志願

この自己紹介は、後の 6 月 25 日に Jean Kaplansky 自身が起票する Issue #40(Empathy.com review) の直接的な前段にあたる。「実利用者の視点での詳細レビュー」という Planning Guide の中核素材は、5 月 24 日のこの ML 投稿に起源を持つ。

4.4 Weekly GitHub digest 通知(計 3 件)

Repository Activity Summary Bot による週次 GitHub ダイジェスト:

  • 5 月 4 日 #000040: PR #29(Yahoo recovery process、deansaxe)の新規提出を報告
  • 5 月 11 日 #000042: PR #30(Create planning_guide_outline.md、deansaxe、CyberSecAwarenessMonth ラベル付き)にレビュアー(deansaxe、jeankaplansky、rkzack)から計 5 件のコメントが集中、PR #29 のマージを報告
  • 5 月 18 日 #000043: 5 月 16 日定例会で生まれた Issue #31〜#36 の 6 件新規作成 と、PR #30 のマージを報告

GitHub digest の積み上げで見ると、5 月の DADE リポジトリ活動は 「PR #29 マージ → PR #30 提出・レビュー集中・マージ → 16 日定例会で派生 Issue 6 件起票」 という 3 週連続のリズムで進行したことが読み取れる。

5. GitHub 上の議論

openid/death-and-the-digital-estate リポジトリの 2025 年 5 月の活動状況は以下の通り(GitHub 検索および ML 週次ダイジェストから再構成)。

  • 5 月内に新規作成された Issue: 7 件(#31、#32、#33、#34、#35、#36、#37)
  • 5 月内に提出された Pull Request: 2 件(#29、#30)
  • 5 月内にマージされた Pull Request: 2 件(#29 が 5 月 4 日、#30 が 5 月 13 日)

5 月の特徴は「outline マージ → 派生論点の Issue 一斉起票」というワークフローが初めて確立された点にある。Issue #31〜#36 はいずれも 5 月 16 日定例会と同日に起票 されたもので(Dean Saxe が #31〜#34、George Fletcher が #35、Victor Lu が #36)、いずれも CyberSecAwarenessMonth ラベルが付与され、Planning Guide 改善の作業項目として明示的に紐付けられている。

openid/death-and-the-digital-estate#30 - Create planning_guide_outline.md

  • 作成者: deansaxe
  • 作成日: 2025 年 5 月 7 日
  • マージ: 2025 年 5 月 13 日(deansaxe)
  • コメント: 5 件以上(deansaxe、jeankaplansky、rkzack、xmlgrrl、gffletch、mdes206、seanmillerrsa)
  • 位置付け: Planning Guide outline の初版。本 PR のレビュー討議が、後続の Issue #31〜#36 の発生源となった。詳細は §2 参照

openid/death-and-the-digital-estate#36 - [Use Case] Access and Ownership Challenges in High-Impact Digital Estates

  • 作成者: victorjunlu(Victor Lu)
  • 作成日: 2025 年 5 月 16 日(5 月 16 日定例会と同日)
  • ラベル: CyberSecAwarenessMonthUse Case
  • 内容: GitHub、Google Scholar、学術出版社、メールサービス、クラウドストレージ、暗号資産ウォレットといった 複数管轄圏にまたがるクリティカルなプラットフォーム を扱う技術者・研究者が死亡または機能喪失した際の継承課題を整理。「ownership often resides solely with the deceased」「platform-level control often rests with a single individual」と問題を定式化し、対策として デジタル資産インベントリ・組織アカウント化・バックアップ管理者・遺産計画への組み込み・プラットフォームのレガシーツール改善 を提案
  • 位置付け: 後続月(特に 8 月 20 日定例会)で展開される 「impersonation と delegation の境界」「unregulated actors(規制されない主体)が規制対象機能を実行している」 議論の典型例ケース

openid/death-and-the-digital-estate#35 - Breadth discovery of digital footprint

  • 作成者: gffletch(George Fletcher)
  • 作成日: 2025 年 5 月 16 日
  • ラベル: CyberSecAwarenessMonth
  • 本質的論点: 故人または機能喪失者の デジタルプレゼンス全容をどう発見するか(discovery) と、アクセス手段としての benevolent impersonation の倫理的位置付け
  • 引用(5 月 16 日定例会の議論を踏まえた本文より): 「責任者がメール/電話アクセスなしにどうやって正当な手段でクリティカルな情報にアクセスできるかが不明瞭であり、benevolent impersonation(クレデンシャルへのアクセス)が事実上もっとも容易な手段になっている」
  • 位置付け: 「benevolent impersonation」という用語が DADE CG の議論枠組みに正式導入された原典 Issue。後の 6 月・8 月の議論(impersonation と delegation の境界、competence から consent への転換)の起点となる

openid/death-and-the-digital-estate#34 - Threat modeling the planning guide

  • 作成者: deansaxe(gffletch のコメントを引用して起票)
  • 作成日: 2025 年 5 月 16 日
  • ラベル: CyberSecAwarenessMonth
  • 内容: PR #30 で gffletch が残したコメント 「This feels like we need a risk model for this topic 😃 At the end of the day, the mechanism mostly likely to be kept up to date by the human is probably the best option.」 を独立 Issue 化したもの
  • 位置付け: Planning Guide のアドバイスをリスクモデルに基づいて選別する作業項目。「人が実際に維持し続けられる仕組みが最良」という判断基準は、後の 「real humans」向け Planning Guide の編集方針に通底する

openid/death-and-the-digital-estate#33 - Revocable living trust?

  • 作成者: deansaxe(gffletch のコメントから起票)
  • 作成日: 2025 年 5 月 16 日
  • ラベル: CyberSecAwarenessMonth
  • 内容: 「Revocable living trust(撤回可能生前信託)の概念を Planning Guide に取り込む必要があるか、それで何かが変わるか」を問う Issue

openid/death-and-the-digital-estate#32 - Timeliness of posthumous digital personhood?

  • 作成者: deansaxe(mdes206 のコメントから起票)
  • 作成日: 2025 年 5 月 16 日
  • ラベル: CyberSecAwarenessMonth
  • 内容: 「死後デジタル人格をどれくらいの期間管理すべきか。50 年後、本人を知る者が誰もいなくなった時点で元の意図が忘れ去られていることは問題か」を問う Issue
  • 位置付け: 記憶の保全 vs 削除権 という DADE CG の本質的トレードオフを直接扱う Issue。8 月 8 日定例会で再登場する「インターネット上のデータ削除困難性 vs 家系・系譜情報の文書化ニーズ」の対立軸の起点

openid/death-and-the-digital-estate#31 - Planning guide suggestion

  • 作成者: deansaxe(mdes206 のコメントから起票)
  • 作成日: 2025 年 5 月 16 日
  • ラベル: CyberSecAwarenessMonth
  • 内容: Planning Guide に 死後デジタル人格(posthumous personhood)保護 の forward-looking な節を加えるべきとの提案。grief-related AI applications・reanimation への懸念、現行法の遅れ、特に 中年〜若年層 にとって意味の大きい論点であることを記述

openid/death-and-the-digital-estate#37 - Death of spouse checklist

  • 作成者: gffletch(George Fletcher)
  • 作成日: 2025 年 5 月 31 日
  • 内容: George Fletcher 自身が配偶者対応の経験を踏まえて作成した未完成チェックリスト("Spouse Passing - Checklist.pdf")を共有。Google Docs での共同編集版に移す意向を表明
  • 位置付け: Planning Guide の 「reactive な executor」向けの実体験ベースのサンプル素材 の最初の投入。後の 6 月 8 日週次ダイジェスト報告で deansaxe からのフォローコメントが入る系統に連なる

GitHub リポジトリの活動は、すでにこの 5 月時点で wiki(議事録)と issue(ユースケース・実利用レビュー)と PR(プラットフォームカタログ・outline) に重心がある運用が確立されつつあった。

6. 関連イベント

Cybersecurity Awareness Month(10 月)に向けた立ち上げ

5 月の DADE CG 全体は、10 月の Cybersecurity Awareness Month に合わせた成果物計画を outline ドラフト → コミュニティレビュー → 派生論点の Issue 化 という 3 段階で動かし始めた立ち上がり期であった。Dean Saxe の ML 投稿で示された「真夏(mid-summer)までにドラフト」「9 月までに OIDF ボードレビュー」のスケジュールが、後続月(6 月の初稿、7 月の章割執筆、8 月の v2、8 月 25 日のパブリックレビュー開始)の作業ペースを規定している。

Identiverse 2025 パネル準備

5 月 16 日定例会と議事録通知メールでは、6 月初旬に予定されていた Identiverse 2025 パネル の準備が議題に含まれた。Elizabeth Wharton(Silver Key Strategies) がパネリストとして加わる予定であることが共有され、参加者にはパネル質問の事前送付が依頼された。Identiverse 2025 では DADE が単独パネルではなく OIDF ボードセッション「Take on the Landscape」(6 月 2 日)の文脈で、age assurance や Agentic AI と並ぶ新興ユースケース として位置付けられた(OpenID Foundation takes the stage at Identiverse 2025)。

Identiverse 2024 からの継続性

DADE CG は 2024 年 9 月に発足した若い CG であり、2024 年の Identiverse でデジタル遺産フレームワーク・ツール・ガイダンスの欠如が初めて公的に提起された経緯を持つ。2025 年 5 月の Planning Guide outline 立ち上げは、その問題提起から 1 年弱で 具体的な成果物計画に転化 したことを示す節目であった。

OIDF ボード委託の研究レポート

ML や定例会では明示的に言及されていないが、後に「The Unfinished Digital Estate: Culture, Law, and Technology After Death」として公開される研究レポートは、OpenID Foundation Board が 2025 年 4 月に正式委託 したことが OIDF 側の公開資料で明らかにされている(Open for Public Comment: The Unfinished Digital Estate)。5 月時点では DADE CG メンバー間でこのホワイトペーパー作業が始まったばかりの段階であり、本格的な ML での共有・レビュー募集は 8 月以降となる。

7. 今後の予定(2025 年 5 月末時点の視点)

5 月末時点で DADE CG が見据えていた当面の予定:

  • 2025 年 6 月 13 日(金曜 PT 07:00): 次回定例会
  • 2025 年 6 月 25 日(水曜 PT 15:00): その次の定例会
  • 2025 年 6 月初旬: Identiverse 2025 パネル登壇(Elizabeth Wharton 参加予定)
  • 2025 年 真夏(mid-summer): Planning Guide ドラフト目標
  • 2025 年 9 月: OIDF ボードレビュー期限
  • 2025 年 10 月: Cybersecurity Awareness Month に Planning Guide とホワイトペーパーを公開
  • 継続課題:
    • PR #30 でマージされた outline の章ごとの執筆
    • 5 月 16 日に起票された Issue #31〜#36 の解決(threat model の確立、RUFADAA の組み込み判断、posthumous personhood の節追加、impersonation の倫理整理)
    • Issue #37(配偶者死亡チェックリスト)の Google Docs 化と Planning Guide への取り込み判断
    • Jean Kaplansky 提案の Empathy.com 研究 Issue の起票(後の 6 月 25 日に Issue #40 として実現)
    • Resources Wiki への追加プラットフォーム情報の整備(Yahoo に続く Google・他社カタログ作り)
    • 「dated / jurisdiction-aware / modest」な maturity ladder の Planning Guide への適用

8. 参考情報源