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OpenID Foundation MODRNA WG 活動レポート (2024年10月)

執筆日: 2026-05-20(遡及執筆)。本記事は 2024 年 10 月の MODRNA WG 活動を、約 1 年 7 ヶ月後の視点から openid-specs-mobile-profile メーリングリストの公開アーカイブ、openid.net 上の公開情報、および同月開催の OpenID Foundation Hybrid Workshop / IIW 39 の一次資料をもとに再構成したものです。

1. 概要

MODRNA (Mobile Operator Discovery, Registration, & autheNticAtion) WG は、モバイルネットワークオペレータ (MNO) が OpenID Connect / OAuth 2.0 をベースに GSMA Mobile Connect 互換のアイデンティティサービスを提供する際の相互運用プロファイルを策定する OpenID Foundation のワーキンググループである。共同議長は Bjorn Hjelm と John Bradley (Yubico) の 2 名で、定例コールは隔週火曜 14:00-15:00 UTC(7:00-8:00 PT、GoToMeeting アクセスコード 927-253-461)のカデンスで運営され、議事録は non-public 運用、仕様ソースは bitbucket.org/openid/mobile/src/master/ で管理されている。

2024 年 10 月の MODRNA WG は、月末の 10 月 28 日 OpenID Foundation Hybrid Workshop at Microsoft (Mountain View) での 5 分間 WG アップデート発表、および直後の 10 月 29〜31 日 IIW 39(Internet Identity Workshop XXXIX、同じく Mountain View Computer History Museum) という、年間でも比較的対外露出が集中する週を含む月であった。一方で、openid-specs-mobile-profile の公開アーカイブにエントリが生成された週は Week-of-Mon-20241007Week-of-Mon-20241021 の 2 週のみで、合計投稿数は 4 通である。週次インデックスから読み取れる投稿構成は次のとおり整理できる。

  • 10 月 8 日 (火): 同日開催の MODRNA WG コール用アジェンダ投稿(標準 9 項目)。投稿者は共同議長 Bjorn Hjelm
  • 10 月 22 日 (火): 同日定例コールの キャンセル リマインダ、および Google カレンダー連動の取り消し通知(投稿者は Hjelm)
  • 10 月 22 日 (火): OpenID Foundation Operations Director の Mike Leszcz から、OpenID Process Document v1.98 と IPR Policy 改訂が 10 月 19 日付の membership vote で承認された旨のクロスポスト アナウンス 1 通

すなわち、隔週カデンス上の本命であった 2 つのコール候補(10/8・10/22)のうち、10 月 8 日コールが実施され、10 月 22 日コールはキャンセルとなった。10/22 のキャンセル理由は ML 本文には明示されておらず、文面は「As discussed at the last call, this is a reminder that today's MODRNA WG call is canceled this week.」という 1 文に署名を添えた短いリマインダで、直前の 10/8 コールで合意されたキャンセル決定の念押しの体である。

公開チャネルで観測できる MODRNA 固有の技術議論スレッドは月内ゼロであり、openid.net/tag/modrna/ 配下にも 2024 年 10 月付の MODRNA 固有アナウンスは存在しない。一方、本月は OpenID Foundation 全体としては (i) 10 月 15 日の IPSIE WG 新規設立アナウンス(後に 11 月にも追加アナウンスが続く)、(ii) 10 月 19 日の OpenID Process Document v1.98 / IPR Policy 改訂承認 とそれに伴う Mike Leszcz の MODRNA ML へのクロスポスト、(iii) 10 月 21 日の OpenID Federation Wallet Architectures Draft の 3rd Call for Adoption 開始(AB/Connect WG 側)、(iv) 10 月 28 日 Workshop、(v) 10 月 29-31 日 IIW 39 と、隣接 WG・Foundation 全体プロセスの両面で動きの大きい月であった。MODRNA WG はこのうち (ii) のクロスポスト受信と (iv) Workshop における 5 分枠アップデート発表で外部接点を保ち、(iii)(v) には公開チャネル上の明示的な関与を示さずに月を閉じている。

本月は、後の 2024 年 11 月の「橋渡しの月」(11/5 コール事前合意キャンセル + 11/19 コールで「2025 Budget」議題提示)、12 月の連続キャンセル運用、そして 2025 年 1 月下旬の IETF OAuth WG interim meeting (interim-2025-oauth-04) を経て CIBA Core 1.0 errata 1 draft (-06) 公開に至る一連の流れの起点に位置する月でもある。10/22 リマインダ文中の「(due to a conflict)」相当の表現は本月の ML には現れないが、翌 11/5 キャンセル リマインダの「As discussed at the last call」(= 10/22 ではなく 10/8 を指す可能性が高い)から、11 月以降の縮退運用の判断起点が 10/8 コール周辺にあったことが間接的に読み取れる。

2. 公開された仕様・ドラフト改訂

2024 年 10 月中に MODRNA WG 名義で 新規のドラフト改訂アナウンス・パブリックレビュー告知・Notice of Vote は ML・openid.net/tag/modrna/ のいずれにも投稿されていない。MODRNA WG が保守する主要仕様群のステータスは、10 月末時点で以下のとおりであり、これは翌 11 月末・12 月末時点と同一である。

仕様ステータス
OpenID Connect Client Initiated Backchannel Authentication – CoreFinal (2021-09)
OpenID Connect MODRNA Authentication ProfileImplementer's Draft 1
OpenID Connect Account PortingImplementer's Draft 1
OpenID Connect User Questioning APIImplementer's Draft 2
OpenID Connect MODRNA Discovery ProfileWorking Draft
OpenID Connect MODRNA Registration ProfileWorking Draft
Client Initiated Backchannel Authentication Profile (MODRNA 版)Working Draft

OpenID Foundation 全体ガバナンス: Process Document v1.98 / IPR Policy 改訂承認

MODRNA WG の固有仕様改訂ではないが、本月の MODRNA ML 上で最も実質的な内容を持つ単発投稿は、Mike Leszcz (OpenID Foundation Operations Director) による 10 月 22 日の「Revisions to OpenID Process Document and IPR Policy Approved」クロスポスト アナウンスである。要点は以下のとおり。

  • 承認経緯: OpenID Foundation Board 配下のサブグループが Process Document と IPR Policy を改訂。両文書間の相互依存により IPR Policy 側も同時改訂対象に拡張された
  • Board 承認: 2024 年 9 月 12 日の Board 会議で全会一致承認
  • Membership 手続き: 21 日間のレビュー + 14 日間の投票(30% クォーラム要件)。レビュー期間は実質的に 10 月初旬まで、投票締切が 10 月 19 日
  • 投票結果(2024-10-19 締切): 賛成 106・反対 1・棄権 21、参加率 34%(クォーラム 30% を超過)。Marie Jordan(OIDF Secretary)名義で集計・公示
  • 公開ドキュメント: OIDF_Process-Document_Final_2024-10-19.pdf(v1.98)および OIDF-Policy_IPR-Policy_Final_2024-10-19.pdf として openid.net/wp-content/uploads/2024/10/ 配下に公開
  • 公式アナウンス: 2024-10-22 付ブログ記事 Revisions to OpenID Process Document and IPR Policy Approved として同日公表

このクロスポストは MODRNA WG メンバーに対し、(i) 既存 IPR Policy 下で進められていた MODRNA 仕様策定が改訂後の新版 IPR Policy に切り替わること、(ii) Implementer's Draft や Final として今後アナウンスされる MODRNA 仕様には新版 Process Document の節番号・手続きが適用されること、を周知する位置づけを持つ。具体的な「マテリアル チェンジ」の項目別解説は本文中に列挙されておらず、別途 openid.net 上の補足資料へ誘導する形式であった。MODRNA ML 上でこのクロスポストへの返信・質問は寄せられていない。

隣接 WG 動向(参考、MODRNA 直接関与なし)

  • IPSIE WG 新規設立アナウンス(2024-10-15): エンタープライズ向け既存仕様のセキュア・バイ・デザインプロファイル策定を目的とする新 WG。Single Sign-On、User Lifecycle Management、Entitlements、Risk Signal Sharing、Logout、Token Revocation を当初焦点領域として掲げる。Okta・Ping Identity・Microsoft・SGNL・Beyond Identity が初期参加。MODRNA との直接接点は本月時点では存在しない
  • OpenID Federation Wallet Architectures 1.0 — 3rd Call for Adoption 開始(2024-10-21): AB/Connect WG 側で、9 月 13 日の 2nd Call で要望された変更(Credential Issuer ↔ Wallet Solution 間の信頼確立節追加、ASCII art シーケンス図、Third-Party Trust Model → Trusted Third-Party Model リネーム、Subordinate Statement のメタデータ用法明確化)を取り込んだ新 draft が ML(openid-specs-ab)に投稿され、3rd Call for Adoption が開始された。MODRNA との直接接点は本月時点では存在しない

3. ミーティングと議論

MODRNA WG の議事録は non-public 運用のため、定例コールの議題詳細・参加者・決定事項は公開されていない。隔週火曜カデンスから定まる 10 月の定例コール候補日 2 回と、ML 公開記録から読み取れる開催状況は以下のとおりである。

日付コール候補公開記録
2024-10-08 (火)定例Bjorn Hjelm より同日 13:59 UTC にアジェンダ投稿あり。キャンセル通知なし。開催された蓋然性が高い
2024-10-22 (火)定例Bjorn Hjelm より同日 13:34 UTC に「REMINDER - MODRNA WG Call Canceled Today」を投稿。Google カレンダー取消通知も。キャンセル確定

10 月 8 日コール: 標準アジェンダの投稿(11 月以降と異なり AOB 特掲項目なし)

2024-10-08 13:59:17 UTC、共同議長の Bjorn Hjelm から「MODRNA WG Agenda」と題したアジェンダメールが ML に投稿された。提示された議題は MODRNA WG の標準 9 項目構成であり、後続月(11/19・12/3 等)に見られる AOB 直下の「2025 Budget」のような特掲項目はまだ含まれていない。議事録 non-public 運用下で、これが公開チャネルから直接確認できる本月唯一のコール議題リストである。

  1. Roll Call
  2. Antitrust Statement(openid.net/antitrust 参照、OIDF の Antitrust Policy および米国・国際の反トラスト/競争法に従う旨を毎回読み上げる運用)
  3. Adoption of the Agenda
  4. External Organizations
  5. Events
  6. Specification Status(openid.net/wg/mobile/status/ 参照)
  7. OpenID Certification for MODRNA(openid.net/certification/ 参照)
  8. Issue Tracker(bitbucket.org/openid/mobile/issues 参照)
  9. AOB

10/8 コール後にキャンセル通知や延期通知は ML に流れていないため、当日コールは予定どおり開催された蓋然性が高い。開催後の議事サマリ・決定事項の ML 共有もなされておらず、これは MODRNA WG の常態である(議事録 non-public 運用、ML 上での議事サマリ共有も恒常的に行われない)。

10/8 コールでは、隔週カデンス上の次回(10/22)が同月末 10/28 の OIDF Workshop および 10/29-31 の IIW 39 と接近していること、また 10/22 が OpenID Process Document / IPR Policy の membership vote 締切(10/19)の直後という Foundation プロセス上の節目であることから、Workshop 5 分枠の構成内容、IIW 39 への MODRNA 関係者の参加方針、Foundation ガバナンス改訂への対応、といった議題が「Events」「External Organizations」項目下で口頭共有された蓋然性は高いが、これらはいずれも議事録 non-public のため公開チャネルから確定できない。10/22 コールのキャンセル決定もこのコールでなされた可能性が高い(後述)。

10 月 22 日コール: キャンセル

2024-10-22 13:34:34 UTC、共同議長の Bjorn Hjelm から「REMINDER - MODRNA WG Call Canceled Today」と題したリマインダ投稿が ML に送られた。本文は「As discussed at the last call, this is a reminder that today's MODRNA WG call is canceled this week.」という 1 文に署名を添えた短い告知で、前回コール(10/8)での合意を前提に当日コールのキャンセルを念押しする内容である。後の 11/5 リマインダで明示される「due to a conflict」相当の理由付記は本月のリマインダには含まれない。

同日 14:56 UTC には、Google カレンダー連動の取り消し通知が ML に転送された。「Canceled event: MODRNA WG @ Tue Oct 22, 2024 7am - 8am (PDT)」と題され、Zoom リンク(Hjelm 主催)と招待者リストを含む。招待者リストには Cisco 関係者複数名deiellisvmanivasxdesaicvolnyjoshterrjoeduggarichbarnjamieis 等のエイリアス)、Michael Engan (T-Mobile)Joerg Connotte (Deutsche Telekom) が含まれ、ML (openid-specs-mobile-profile) 自体も招待先として登録されていることが確認できる。この招待者構成は、後の 11/5・12/17・12/31・2025-01-28・2026-04-08 各回のキャンセル通知でもほぼ同じ構成が観測されており、MODRNA WG コールの常連参加組織が 米国系 MNO/ベンダー(Cisco、T-Mobile)に加え、欧州系 MNO(Deutsche Telekom)も含む 構成であったことが本月の記録から確認できる。

10/22 キャンセルの具体的な競合要因は本文に明示されていない。10 月後半は (i) 10/19 締切の OpenID Process Document / IPR Policy membership vote 直後(投票結果クロスポストが同じ 10/22 中に Leszcz から ML へ送られている)、(ii) 10/28 OIDF Workshop @ Microsoft Mountain View(Hjelm が 5 分枠の MODRNA WG Update を発表予定)、(iii) 10/29-31 IIW 39 @ Computer History Museum、と Foundation プロセス上・対外イベント上の節目が立て続けに到来する時期であった。これらいずれかへの準備集中、あるいは Workshop / IIW 移動・現地参加スケジュールが背景にあった可能性が考えられるが、いずれも推察の域を出ない。

公開議論の状況

10 月中に MODRNA ML 上で技術議論が交わされたスレッドは ゼロである。Bitbucket Issue Tracker 側の新規起票・議論再燃の通知も ML には流れていない。本来、議事録 non-public の MODRNA WG では ML と Bitbucket Issue から議論を再構成するのが代替手段となるが、10 月はそのいずれにおいても再構成可能な技術議論ストリームが公開チャネルに観測されない月となった。

これは MODRNA WG が活動を停止していたという意味ではなく、(i) 10/8 コールは開催されたものの議事録が non-public、(ii) 10/22 コールはキャンセルでコール自体が不在、(iii) 月内に新規仕様改訂イベントが発生しなかった、(iv) Hjelm 自身が 10/28 Workshop 5 分枠のスライド準備および IIW 39 ロジスティクスに集中していたと推測される、という複数要因の重なりによる「公開チャネル上の沈黙」である。実質的な対外露出は 10/28 Workshop 当日に集中させた構成と読み取れる。

4. メーリングリストの主要スレッド

2024 年 10 月の openid-specs-mobile-profile の週次アーカイブ生成状況と投稿内訳は以下のとおり。

アーカイブ週投稿数主な内容
Week-of-Mon-202409300週次インデックスなし(9/30〜10/6 に投稿ゼロ)
Week-of-Mon-202410071Hjelm の 10/8 コール用アジェンダ
Week-of-Mon-202410140週次インデックスなし(10/14〜10/20 に投稿ゼロ)
Week-of-Mon-202410213Hjelm の 10/22 キャンセル リマインダ + Leszcz の IPR/Process Document 改訂承認クロスポスト + Hjelm の Google カレンダー取り消し通知
Week-of-Mon-202410280週次インデックスなし(10/28〜11/3 に投稿ゼロ。10/28 Workshop 当日・翌日 IIW 39 開幕にもかかわらず ML へのレポート投稿はゼロ)

「3〜5 本選定」の対象となる技術議論スレッドは本月にもゼロであった。本節では運用通知 3 件 + Foundation ガバナンスのクロスポスト 1 件、計 4 件を順に紹介する。

1. MODRNA WG Agenda (2024-10-08)

10 月 8 日定例コール用の標準 9 項目アジェンダ。後続月(11/19・12/3)のように AOB 直下に「2025 Budget」のような特掲項目はまだ含まれていない。本投稿への ML 上の返信・議題追加要請は寄せられていない。Antitrust Statement の文言として「The OIDF Antitrust Policy, and any applicable U.S. and international antitrust and competition law」を毎回読み上げ、参加者が反競争的議論にフォーラムを利用しない責任を負う旨が明示されている点も、MODRNA WG 標準アジェンダの特徴である。

2. REMINDER - MODRNA WG Call Canceled Today (2024-10-22)

10 月 22 日定例コールのキャンセル リマインダ。本文は「As discussed at the last call, this is a reminder that today's MODRNA WG call is canceled this week.」の 1 文に署名を添えただけの短いもので、(i) 前回コール(10/8)での合意を前提とした告知である旨、(ii) 当日コール キャンセル、の 2 点のみが共有された。後の 11/5 リマインダで明示される「due to a conflict」相当の理由付記は本月のリマインダにはない。本投稿への ML 上の返信・議題追加要請は寄せられていない。

3. Revisions to OpenID Process Document and IPR Policy Approved (2024-10-22)

OpenID Foundation の Process Document v1.98 と IPR Policy 改訂の membership vote 承認アナウンスを各 WG ML にクロスポストしたもの。MODRNA ML への到着タイミングが Hjelm のキャンセル リマインダ(13:34 UTC)の直後(13:50 UTC 頃)であり、本月の MODRNA WG メンバーが受け取った 2 通目の本格的な ML 投稿となった。投票結果(賛成 106・反対 1・棄権 21、参加率 34%)、Board 承認日(2024-09-12)、Membership 承認日(2024-10-19)、material changes の補足ドキュメントへの誘導、を含む。MODRNA ML 上でこの投稿への返信・質問は寄せられていない。

この投稿は MODRNA WG にとって、現行 IPR Policy 下で進められていた仕様策定が改訂後の新版に切り替わる節目を意味する。後の 2025 年 1 月以降に MODRNA WG が新たな Implementer's Draft や errata draft を公開する際、その手続きは v1.98 Process Document および新版 IPR Policy に基づくものとなる。

4. Canceled event: MODRNA WG @ Tue Oct 22, 2024 (2024-10-22)

Google カレンダーから生成された取り消し通知。Zoom リンク(Hjelm 主催)と招待者リストを含む。招待者リストには Cisco 関係者複数名、Michael Engan (T-Mobile)、Joerg Connotte (Deutsche Telekom)、および openid-specs-mobile-profile ML 自体が含まれる。本月のこの招待者構成が、後続月の同種通知でも踏襲される MODRNA WG コールの常連参加組織の基底セットとなる。

その他

上記 4 通以外の投稿は 10 月中の MODRNA ML には存在しない。クロスポスト・他 WG ML からの転送投稿(Leszcz のガバナンス改訂以外)も観測されない。10/28 Workshop および 10/29-31 IIW 39 開催を直接的に告知する投稿、参加者募集投稿、開催後レポート投稿のいずれも MODRNA ML 上には存在しなかった。

5. GitHub 上の議論

MODRNA WG の仕様ソースは GitHub ではなく Bitbucket Cloud (bitbucket.org/openid/mobile/src/master/) で管理されている。GitHub 側に MODRNA WG の公式一次リポジトリは存在しない(github.com/openid/MODRNA といった誤記が一部で見られるが、そのようなリポジトリは現存しない)。

Bitbucket Cloud は SPA 描画のため外部からのクローリングに適さず、本稿の調査範囲では 10 月中の Bitbucket Issue / PR / コミット活動の網羅的件数を確認できない。ただし、MODRNA WG の ML 上で 10 月中に Bitbucket 由来の新規 Issue / PR 起票通知が一切流れていないことから、Issue Tracker 側でも目立った新規動作はなかったと推定できる(Issue Tracker での新規起票や活発な議論再燃があれば、議長 Hjelm が 10/8 アジェンダの「Issue Tracker」項目に具体的な Issue 番号を併記するか、別途 ML に告知する運用が後続月で観測されているため)。

なお、Atlassian による Bitbucket Cloud Issues / Wiki の 2026-08-20 完全廃止アナウンスはこの時点では出ておらず(2026 年 3 月公表)、MODRNA WG として Issue Tracker 代替候補を検討する動きは本月の公開チャネルには存在しない。後の 2025 年 1 月 30 日に Mike Jones が MODRNA ML から存在を明示することになる PR #18 (bitbucket.org/openid/mobile/pull-requests/18、CIBA Core 1.0 → errata 1 draft の差分、編集者 Joe DeCock) も、10 月時点では公開チャネルから存在が確認できず、その伏線となる IETF OAuth interim (interim-2025-oauth-04) もまだ 3 ヶ月先の予定にすら入っていない。

6. 関連イベント

OpenID Foundation Hybrid Workshop at Microsoft (2024-10-28)

本月の MODRNA WG にとって対外的に最も重要なイベントは、2024 年 10 月 28 日に Microsoft Mountain View で開催された OpenID Foundation Hybrid Workshop である。12:30〜15:45 PT のハイブリッド形式で実施され、IIW 39(10/29-31)の前日というロジスティクス上有利な日程に組まれた。Foundation の 2024 年主要イニシアチブと各 WG アップデートが共有された 19 セッション構成のアジェンダのうち、5 分間の「MODRNA WG Update」枠が Bjorn Hjelm 担当として明示的にスケジュールされた。

Workshop 全体のアジェンダ構成(公式登録ページから読み取れるもの):

時間枠セッション発表者
5 分WelcomeNat Sakimura & Gail Hodges
5 分OIDF New NewsGail Hodges
15 分Authority Specification ConceptRachel O'Connell, Mark Haine, Denise Tayloe
10 分OIX Transition Update/BriefingElizabeth Garber & Mike Leszcz
10 分Member Survey FindingsElizabeth Garber & Paul Briault
15 分OWF/SIDI Hub/OIDF in 2025Gail Hodges, Elizabeth Garber, Daniel Goldscheider
15 分Ecosystem CG/WG BrainstormingDima Postnikov 他
15 分Shared Signals & Open BankingTBC
10 分Certification Program UpdateJoseph Heenan, Mike Leszcz
10 分DADE CG UpdateDean Saxe
10 分IPSIE WG IntroductionAaron Parecki
5 分Connect WG UpdateMike Jones
5 分AuthZEN WG UpdateOmri Gazitt
5 分DCP WG UpdateKristina Yasuda, Joseph Heenan, Torsten Lodderstedt
5 分eKYC & IDA WG UpdateHodari McClain
5 分FAPI WG UpdateTBC
5 分iGov WG UpdateJohn Bradley
5 分MODRNA WG UpdateBjorn Hjelm
15 分US Open Banking/CFPB/FDX PartnershipGail Hodges & Joseph Heenan
15 分Q&A

MODRNA WG 共同議長 2 名のうち、John Bradley は iGov WG Update(5 分枠)を担当し、Bjorn Hjelm は MODRNA WG Update(5 分枠)を担当するという役割分担になっていた点が本 Workshop アジェンダの特徴である。なお、MODRNA WG Update の発表スライドは openid.net/wg/modrna/ 配下や Hjelm の SlideShare 公開ライブラリには本稿執筆時点で確認できず、当日口頭発表のみで終わった可能性、または公開アーカイブが別所に存在する可能性が考えられる。

Mike Jones の Connect WG Update 5 分枠で扱われた内容(self-issued.info の本人ポスト より)には MODRNA との直接接点は含まれず、彼の同枠スライドおよび翌 10/29 IIW 39 の「Introduction to OpenID Connect」セッションでも MODRNA・Mobile Connect・CIBA・MNO 関連の言及は確認できない。

Internet Identity Workshop XXXIX (IIW 39, 2024-10-29 〜 10-31)

OIDF Workshop 翌日から、Computer History Museum (Mountain View) で IIW 39(IIWXXXIX、Internet Identity Workshop 39th, 2024B)が 3 日間開催された。IIW は伝統的にアンカンファレンス形式を採り、各日朝の Opening Circle で参加者が当日セッションを提案・登録する運営である。IIW 39 は 178 セッションで開催記録上の最多記録を更新し、Trust Registry / Progressive Trust / EUDI Wallet Relying Party Authentication / Cross-Ecosystem Trust Interoperability 等の議題が活況であったと事後レポート(Northern Block 等)で報告されている。

MODRNA / Mobile Connect / CIBA を主題とする独立セッションが IIW 39 で開催されたか否かは、IIW セッションノート公開アーカイブ(iiw.idcommons.net/IIW_39_Session_Notes)からは本稿の調査範囲では確証できなかった(インデックスは確認できるが、個別セッション本文の網羅的精査は未完了)。少なくとも、MODRNA ML 上で IIW 39 期間中のセッション開催告知・事後レポート投稿は一切なされていない。MODRNA WG として組織的に IIW 39 にセッションを持ち込む動きは本月の公開チャネルからは観測されない一方、Hjelm・Bradley を含む WG コアメンバーが個人参加してアドホックなセッションで Mobile/Telco 関連議論に加わった可能性は残る。

OpenID Process Document v1.98 / IPR Policy 改訂承認(2024-10-19)

§2 で詳述。10/22 に Mike Leszcz から MODRNA ML へクロスポスト アナウンスが届いた。MODRNA WG の今後の仕様承認手続きはこの v1.98 / 新版 IPR Policy に基づくものとなる。

IPSIE WG 新規設立アナウンス(2024-10-15)

OpenID Foundation が「Announcing the IPSIE Working Group」を 10/15 付で公表。エンタープライズ向け既存仕様のセキュア・バイ・デザインプロファイル策定を目的とし、Single Sign-On、User Lifecycle Management、Entitlements、Risk Signal Sharing、Logout、Token Revocation を当初焦点領域として掲げる。週次火曜開催のミーティングカデンス。Okta・Ping Identity・Microsoft・SGNL・Beyond Identity が初期参加とアナウンスされた。MODRNA とは別系統のエンタープライズ向け取り組みであり、本月の MODRNA ML 上ではクロスポスト・言及なし。Aaron Parecki が 10/28 Workshop で IPSIE WG Introduction 10 分枠を担当。

CAMARA / Mobile Connect コンテキスト

OpenID Foundation は 2023 年 11 月以来 Linux Foundation の CAMARA プロジェクトに Associate Member として参加しており、Bjorn Hjelm は OIDF の CAMARA Liaison Officer を兼務している。10 月中に MODRNA WG として CAMARA 進捗を ML に共有する投稿や、MODRNA × CAMARA の合同セッションを開いた記録は公開情報からは確認できなかった。同月の 10/8 アジェンダの「External Organizations」項目で CAMARA 進捗の口頭共有がなされた可能性、および 10/28 Workshop の MODRNA WG Update 5 分枠で CAMARA 連携状況に触れられた可能性は高いが、議事録 non-public およびスライド非公開のため確定できない。

IETF / 外部標準化動向

10 月中の IETF 側で MODRNA 仕様群と直結する標準化イベントは確認できない。後の 2025 年 1 月 27 日に開催される OAuth WG interim meeting (interim-2025-oauth-04) で議論される private-key-jwt aud 値曖昧性脆弱性(University of Stuttgart の Pedram Hosseyni らによる発見)は、本 10 月時点では Datatracker 上にも MODRNA ML 上にも前触れが存在しない(draft-jones-oauth-rfc7523bis-00 公開は 2025-01-27)。

7. 今後の予定(2024 年 10 月末時点の視点)

10 月末時点の公開情報からは、MODRNA WG の 11 月以降の明示的な予定は ML・openid.net いずれにも掲載されていない。隔週カデンスと月内事象から推定される事項は以下のとおり。

  • 定例コール: 隔週火曜サイクル(10/8 開催、10/22 キャンセル)に従えば 11 月 5 日(火)が次回候補。実際には、後の 11/5 リマインダで Hjelm が「As discussed at the last call, this is a reminder that (due to a conflict) today's MODRNA WG call is canceled this week」と告知するキャンセルが「10/22 ではなく 10/8 コールで合意済み」という運用パターンが踏襲される(10/22 自体がキャンセルだったため)
  • 2025 Budget 議題の登場: 後の 11/19 アジェンダおよび 12/3 アジェンダの AOB に「2025 Budget」が特掲されるが、10 月末時点ではアジェンダにまだ登場していない。11 月〜12 月の年次予算プロセスに合わせて議題化される段取り
  • Implementer's Draft 群の現状維持: Authentication Profile ID1 / Account Porting ID1 / User Questioning API ID2 はいずれも次版改訂の公式アナウンスがなく、現行ステータスを維持
  • 新版 Process Document / IPR Policy 適用: 10/19 承認の v1.98 Process Document および新版 IPR Policy が、今後 MODRNA WG が出す仕様改訂・Implementer's Draft アナウンス・Notice of Vote の手続き基底となる
  • 隣接 WG 動向の波及監視: 10/15 設立の IPSIE WG、11 月開始予定の OpenID4VP Implementer's Draft 3 パブリックレビュー、FAPI 2.0 系列の動きが MODRNA 仕様群に間接的な影響を及ぼす可能性は残るが、10 月末時点では具体的な合流点は MODRNA WG の公開チャネル上に存在しない
  • CAMARA 連携: Hjelm の CAMARA Liaison Officer 兼務継続を前提に、外部組織として CAMARA 進捗が引き続き「External Organizations」議題下で WG 内共有される見込み

10 月の対外可視な活動は (i) 議長 1 名による運用通知 3 通(10/8 アジェンダ、10/22 キャンセル リマインダ、10/22 Google カレンダー取り消し通知)、(ii) Foundation Operations Director による IPR/Process Document クロスポスト 1 通、(iii) 10/28 OIDF Workshop での 5 分枠アップデート発表、の 3 種に集約される。当時の読者にとっては「OIDF Workshop での 5 分枠発表が月内ハイライト、それ以外は標準的な隔週カデンス運用と Foundation ガバナンス改訂受領」というシンプルな運用状況のみが共有された月であった。後の月から振り返ると、本月は 11 月の「橋渡しの月」、12 月の連続キャンセル運用、2025 年 1 月下旬の IETF OAuth interim を経て CIBA Core errata 1 draft 公開へと至る一連の流れの起点として位置づけられる。

8. 参考情報源