OpenID Foundation MODRNA WG 活動レポート (2024年11月)
執筆日: 2026-05-19(遡及執筆)。本記事は 2024 年 11 月の MODRNA WG 活動を、約 1 年 6 ヶ月後の視点から
openid-specs-mobile-profileメーリングリストの公開アーカイブ、openid.net上の公開情報、および同月前後の OpenID Foundation 隣接 WG の公表記録をもとに再構成したものです。
1. 概要
MODRNA (Mobile Operator Discovery, Registration, & autheNticAtion) WG は、モバイルネットワークオペレータ (MNO) が OpenID Connect / OAuth 2.0 をベースに GSMA Mobile Connect 互換のアイデンティティサービスを提供する際の相互運用プロファイルを策定する OpenID Foundation のワーキンググループである。共同議長は Bjorn Hjelm と John Bradley (Yubico) の 2 名で、定例コールは隔週火曜 14:00-15:00 UTC(7:00-8:00 PT)のカデンスで運営され、議事録は non-public 運用、仕様ソースは bitbucket.org/openid/mobile/src/master/ で管理されている。
2024 年 11 月の MODRNA WG は、12 月と同様に 公開チャネル上では極めて静かな月であった。openid-specs-mobile-profile の公開アーカイブにエントリが生成された週は Week-of-Mon-20241104 と Week-of-Mon-20241118 の 2 週のみで、合計投稿数は 3 通、いずれも共同議長 Bjorn Hjelm からの単独投稿である。週次インデックスから読み取れる投稿構成は次のとおり整理できる。
- 11 月 5 日 (火): 同日開催予定だった MODRNA WG コールを「conflict」によりキャンセルする旨のリマインダ投稿、および Google カレンダー連動の取り消し通知 1 通
- 11 月 19 日 (火): 同日開催の MODRNA WG コール用アジェンダ投稿(標準 9 項目 + AOB に「2025 Budget」)
すなわち、11 月のうち隔週カデンス上の本命であった 2 つのコール候補(11/5・11/19)のうち、11 月 5 日コールは明示的にキャンセル、11 月 19 日コールのみが実施可能性のあるコールとなった。Hjelm が 11/5 リマインダで「As discussed at the last call, this is a reminder that (due to a conflict) today's MODRNA WG call is canceled this week.」と記しているとおり、11/5 のキャンセルは前回コール(10/22 想定)時点で既に合意済みの予定キャンセルであり、突発的な中止ではない。
公開チャネルで観測できる技術議論スレッドは月内ゼロであり、openid.net/tag/modrna/ 配下にも 2024 年 11 月付の MODRNA 固有アナウンスは存在しない。同月の OpenID Foundation 全体としては、(i) 月初の 11 月 1 日に OpenID4VP Implementer's Draft 3 のパブリックレビューが開始(11/1〜12/16 の 45 日間)、(ii) 11 月 7〜14 日に AuthZEN Authorization API 1.0 Implementer's Draft の投票期間、(iii) 11 月 14 日に IPSIE WG(Interoperability Profiling for Secure Identity in the Enterprise)の新規設立アナウンス、(iv) 11 月 20 日に UAE 向け FAPI & FAPI Certification アウトリーチワークショップ開催、といった隣接 WG 主導の動きが活発であったが、MODRNA WG はこれらに対する公開チャネル上の関与・クロスポストを行わずに月を閉じている。
直前の 10 月 28 日には Microsoft Mountain View で OpenID Foundation Hybrid Workshop が開催され、その場で Bjorn Hjelm が 5 分間の MODRNA WG アップデートを発表していた。11 月の沈黙は、当該 Workshop と 12 月のホリデー期間に挟まれた「対外発信を集中させた前後期間」の合間に位置する月としての特徴を持つ。本月は、後の 2025 年 1 月 27 日の IETF OAuth WG interim meeting (interim-2025-oauth-04) で private-key-jwt の aud 値曖昧性脆弱性が議論され、それを受けた 2025 年 1 月 30 日の CIBA Core 1.0 errata 1 draft (-06) 公開へと至る「前夜の前夜」に位置する月でもある。
2. 公開された仕様・ドラフト改訂
2024 年 11 月中に MODRNA WG 名義で 新規のドラフト改訂アナウンス・パブリックレビュー告知・Notice of Vote は ML・openid.net/tag/modrna/ のいずれにも投稿されていない。MODRNA WG が保守する主要仕様群のステータスは、11 月末時点で以下のとおりであり、これは前月(10 月末)・翌月(12 月末)と同一である。
| 仕様 | ステータス |
|---|---|
| OpenID Connect Client Initiated Backchannel Authentication – Core | Final (2021-09) |
| OpenID Connect MODRNA Authentication Profile | Implementer's Draft 1 |
| OpenID Connect Account Porting | Implementer's Draft 1 |
| OpenID Connect User Questioning API | Implementer's Draft 2 |
| OpenID Connect MODRNA Discovery Profile | Working Draft |
| OpenID Connect MODRNA Registration Profile | Working Draft |
| Client Initiated Backchannel Authentication Profile (MODRNA 版) | Working Draft |
なお、後の 2025 年 1 月 30 日に Mike Jones が MODRNA ML に公開アナウンスする CIBA Core 1.0 errata 1 draft (-06) は、11 月時点では公開チャネル上に存在せず、ドラフト編集元 PR である bitbucket.org/openid/mobile/pull-requests/18 も ML から間接的にすら言及されていない。errata の発端となる private-key-jwt aud 値曖昧性の議論自体も、IETF OAuth WG interim meeting (interim-2025-oauth-04) が 2025 年 1 月 27 日開催であることから、本月時点では OAuth WG 側にもまだ公開ポジションとして立ち上がっていない。
OpenID Foundation 全体としては、11 月の隣接 WG 動向として以下の動きがあったが、いずれも MODRNA WG が直接関与する作業ではない。
- OpenID4VP Implementer's Draft 3 パブリックレビュー開始 (2024-11-01): AB/Connect WG 主導で 11/1〜12/16 の 45 日間のレビュー期間が告知された。Digital Credentials Query Language の導入、トランザクションデータ機構の追加、
client_id_schemeパラメータの削除(クライアント ID スキームをclient_idのプレフィックス化)の 3 つの主要変更を含む - AuthZEN Authorization API 1.0 Implementer's Draft 投票 (2024-11-07〜11-14): 7 日間の投票期間が実施された。MODRNA とは別系統の認可 API 標準化動向
- IPSIE WG 新規設立 (2024-11-14): エンタープライズ向け既存仕様のセキュア・バイ・デザインプロファイル策定を目的とする新 WG。発起人 7 名により提案され、Specifications Council が支持した
- OIDF Outreach Workshop for UAE: FAPI & FAPI Certification (2024-11-20): FAPI WG 主導の対外ワークショップ
これらは MODRNA 仕様群と独立しており、11 月の MODRNA ML 上でクロスポスト・言及はなされていない。
3. ミーティングと議論
MODRNA WG の議事録は non-public 運用のため、定例コールの議題詳細・参加者・決定事項は公開されていない。隔週火曜カデンスから定まる 11 月の定例コール候補日 2 回と、ML 公開記録から読み取れる開催状況は以下のとおりである。
| 日付 | コール候補 | 公開記録 |
|---|---|---|
| 2024-11-05 (火) | 定例 | Bjorn Hjelm より同日 14:34 UTC に「REMINDER - MODRNA WG Call Canceled Today」を投稿。キャンセル確定 |
| 2024-11-19 (火) | 定例 | Bjorn Hjelm より同日 14:42 UTC にアジェンダ投稿あり。キャンセル通知なし。開催された蓋然性が高い |
11 月 5 日コール: 「conflict」による事前合意済みキャンセル
2024-11-05 14:34:23 UTC、共同議長の Bjorn Hjelm から「REMINDER - MODRNA WG Call Canceled Today」と題したリマインダ投稿が ML に送られた。本文は極めて短く、要旨は次のとおり。
As discussed at the last call, this is a reminder that (due to a conflict) today's MODRNA WG call is canceled this week. (2024-11-05 リマインダより)
「As discussed at the last call」という前提付記から、11 月 5 日コールのキャンセルは 直前の 10 月 22 日想定の定例コール時点で既に合意されていたことが読み取れる。隔週カデンスを遡ると、10 月 22 日が前回コール候補日に該当する(議事録 non-public のため当該コールが開催されたかは公開チャネルからは確定できないが、Hjelm の 11/5 リマインダ文面はそのコールでキャンセル合意がなされたことを強く示唆する)。「due to a conflict」の具体的な競合要因は本文に明示されていない。10 月 28 日に Microsoft Mountain View で OpenID Foundation Hybrid Workshop が開催され、Hjelm 自身がそこで MODRNA WG アップデートを発表していたことから、Workshop 直後の週内における主要参加者の対外イベント疲労・移動スケジュール、あるいは Hjelm 自身の業務スケジュール(Verizon 業務および OIDF Vice Chair 兼 CAMARA Liaison 業務)が背景にあった可能性が考えられるが、これは推察の域を出ない。
同日 14:56 UTC には、Google カレンダー連動の取り消し通知が ML に転送された。「Canceled event: MODRNA WG @ Tue Nov 5, 2024 7am - 8am (PST)」と題され、Zoom リンク(zoom.us/j/94654411780)と招待者リスト(Cisco、T-Mobile、Deutsche Telekom 等の MNO/ベンダー代表者を含む)を含む。この「キャンセル時に Google カレンダーの取り消し通知を ML に転送する」運用パターンは、後の 12 月 16 日(12/17・12/31 キャンセル)、2025 年 1 月 28 日、2026 年 4 月 8 日コールでも同様に踏襲されており、Hjelm が定常的に採用しているキャンセル告知手法であることが本月の記録からも確認できる。
11/5 取り消し通知の招待者リストに Deutsche Telekom が含まれている点は、Mobile Connect / GSMA 系の欧州 MNO 参加が当時継続していたことを示唆する手掛かりであり、後の 2025 年〜2026 年の MODRNA WG 招待者リストと整合する。
11 月 19 日コール: 標準アジェンダの投稿(AOB に「2025 Budget」)
2024-11-19 14:42:39 UTC、共同議長の Bjorn Hjelm から「MODRNA WG Agenda」と題したアジェンダメールが ML に投稿された。提示された議題は MODRNA WG の標準 9 項目構成だが、AOB 直下に 「2025 Budget」 が併記されている点が本月(および翌 12 月 3 日コール)の特徴である。議事録 non-public 運用下で、これが公開チャネルから直接確認できる唯一の議題リストである。
- Roll Call
- Antitrust Statement(openid.net/antitrust 参照)
- Adoption of the Agenda
- External Organizations
- Events
- Specification Status(openid.net/wg/mobile/status/ 参照)
- OpenID Certification for MODRNA(openid.net/certification/ 参照)
- Issue Tracker(bitbucket.org/openid/mobile/issues 参照)
- AOB
- 2025 Budget
「2025 Budget」は、OpenID Foundation の各 WG が毎年 11 月〜12 月にかけて翌年度予算を執行役員会に提出する年次プロセスに対応する議題と整合する。MODRNA WG は GSMA 関係者・CAMARA 関連活動・隔週ミーティング運営費等を翌年度予算枠に含めるための内部確認を、本コールから 12 月 3 日コールにかけて段階的に進める想定の議題構成となっている(同じ AOB「2025 Budget」が翌月 12/3 アジェンダにも継続掲載されることから、11/19 と 12/3 の 2 回コールで予算議論を 2 段階で詰める設計と読み取れる)。具体的な金額・項目は議事録 non-public のため公開チャネルからは確認できない。
11 月 19 日コール後にキャンセル通知や延期通知は ML に流れていないため、当日コールは予定どおり開催された蓋然性が高い。開催後の議事サマリ・決定事項の ML 共有もなされておらず、これは MODRNA WG の常態である(議事録 non-public 運用、ML 上での議事サマリ共有も恒常的に行われない)。
公開議論の状況
11 月中に MODRNA ML 上で技術議論が交わされたスレッドは ゼロである。Bitbucket Issue Tracker 側の新規起票・議論再燃の通知も ML には流れていない。本来、議事録 non-public の MODRNA WG では ML と Bitbucket Issue から議論を再構成するのが代替手段となるが、11 月はそのいずれにおいても再構成可能な議論ストリームが公開チャネルに観測されない月となった。
これは MODRNA WG が活動を停止していたという意味ではなく、(i) 11 月 5 日コールはキャンセルでコール自体が不在、(ii) 11 月 19 日コールは開催されたものの議事録が non-public、(iii) 月内に新規仕様改訂イベントが発生しなかった、という 3 要因の重なりによる「公開チャネル上の沈黙」である。前月(10 月 28 日 Workshop で 5 分間 MODRNA 発表)と後続月(12 月 3 日コールで 2025 Budget 継続議論)の活動水準と比較すると、本月は WG 内部運営の維持に終始した「橋渡しの月」と位置づけられる。
4. メーリングリストの主要スレッド
2024 年 11 月の openid-specs-mobile-profile の週次アーカイブ生成状況と投稿内訳は以下のとおり。
| アーカイブ週 | 投稿数 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Week-of-Mon-20241028 | 0 | 週次インデックスなし(10/28〜11/3 に投稿ゼロ) |
| Week-of-Mon-20241104 | 2 | Hjelm の 11/5 キャンセル リマインダ + Google カレンダー取り消し通知 |
| Week-of-Mon-20241111 | 0 | 週次インデックスなし(11/11〜11/17 に投稿ゼロ) |
| Week-of-Mon-20241118 | 1 | Hjelm の 11/19 コール用アジェンダ |
| Week-of-Mon-20241125 | 0 | 週次インデックスなし(11/25〜12/1 に投稿ゼロ) |
「3〜5 本選定」の対象となる技術議論スレッドは本月にはゼロであった。本節では運用通知 3 件を順に紹介する。技術議論の不在は §3 で論じた構造的な「橋渡しの月」の性格を反映している。
1. REMINDER - MODRNA WG Call Canceled Today (2024-11-05)
- 投稿者: Bjorn Hjelm
- 日時: 2024-11-05 14:34:23 UTC
- URL: Week-of-Mon-20241104/001969.html
11 月 5 日定例コールのキャンセル リマインダ。本文は 2 文と署名のみで、(i) キャンセル決定が前回コールでの合意事項であること、(ii) キャンセル理由は「conflict」であること、の 2 点のみが共有された。本投稿への ML 上の返信・議題追加要請は寄せられていない。
2. Canceled event: MODRNA WG @ Tue Nov 5, 2024 (2024-11-05)
- 投稿者: Bjorn Hjelm
- 日時: 2024-11-05 14:56:24 UTC
- URL: Week-of-Mon-20241104/001970.html
Google カレンダーから生成された取り消し通知。Zoom リンク(zoom.us/j/94654411780)と招待者リスト(Cisco・T-Mobile・Deutsche Telekom 等を含む)を含む点は、他月(2024-12-16、2025-01-28 等)の同種通知と共通の体裁である。本月の招待者リストには欧州系 MNO の Deutsche Telekom が含まれており、MODRNA WG の招待者構成が米国系 MNO/ベンダーに加え欧州系 MNO も含む形であったことが間接的に確認できる。
3. MODRNA WG Agenda (2024-11-19)
- 投稿者: Bjorn Hjelm
- 日時: 2024-11-19 14:42:39 UTC
- URL: Week-of-Mon-20241118/001971.html
11 月 19 日定例コール用の標準 9 項目アジェンダ。AOB 直下に「2025 Budget」が明記されており、これが本月の MODRNA WG にとって最も具体的な議題候補となった(§3 の議論を参照)。本投稿への ML 上の返信・議題追加要請は寄せられていない。
その他
上記 3 通以外の投稿は 11 月中の MODRNA ML には存在しない。クロスポスト・他 WG ML からの転送投稿も観測されない。
5. GitHub 上の議論
MODRNA WG の仕様ソースは GitHub ではなく Bitbucket Cloud (bitbucket.org/openid/mobile/src/master/) で管理されている。GitHub 側に MODRNA WG の公式一次リポジトリは存在しない(github.com/openid/MODRNA といった誤記が一部で見られるが、そのようなリポジトリは現存しない)。
Bitbucket Cloud は SPA 描画のため外部からのクローリングに適さず、本稿の調査範囲では 11 月中の Bitbucket Issue / PR / コミット活動の網羅的件数を確認できない。ただし、MODRNA WG の ML 上で 11 月中に Bitbucket 由来の新規 Issue / PR 起票通知が一切流れていないことから、Issue Tracker 側でも目立った新規動作はなかったと推定できる(Issue Tracker での新規起票や活発な議論再燃があれば、議長 Hjelm が 11 月 19 日アジェンダの「Issue Tracker」項目に具体的な Issue 番号を併記するか、別途 ML に告知する運用が後続月で観測されているため)。
CIBA Core 1.0 errata 1 draft の編集元となる PR #18 (bitbucket.org/openid/mobile/pull-requests/18) も、11 月時点では公開チャネルから存在が確認できない。同 PR が公開チャネルに初めて言及されるのは 2025 年 1 月 30 日の Mike Jones 投稿においてであり、11 月時点ではその伏線となる IETF OAuth interim 自体がまだ将来予定にも入っていない。
なお、Atlassian による Bitbucket Cloud Issues / Wiki の 2026-08-20 完全廃止アナウンスはこの時点では出ておらず(2026 年 3 月公表)、MODRNA WG として Issue Tracker 代替候補を検討する動きは本月の公開チャネルには存在しない。
6. 関連イベント
直前の OpenID Foundation Hybrid Workshop at Microsoft (2024-10-28)
11 月の MODRNA WG 活動を理解する上で重要な直前イベントとして、2024 年 10 月 28 日に Microsoft Mountain View で開催された OpenID Foundation Hybrid Workshop がある。12:30〜15:45 PT のハイブリッド形式で実施され、Foundation の主要イニシアチブと各 WG アップデートが共有された。本 Workshop のアジェンダには 5 分間の MODRNA WG アップデート が含まれており、Bjorn Hjelm が発表を担当した。Nat Sakimura、Gail Hodges、Rachel O'Connell、Elizabeth Garber、Aaron Parecki らも登壇しており、Connect、AuthZEN、DCP、eKYC-IDA、FAPI、iGov の各 WG アップデート、Authority Specification Concept、Certification Program、Shared Signals & Open Banking ユースケース、US Open Banking / CFPB パートナーシップなどが共有された。
11 月のキャンセル(11/5)はこの Workshop 直後の週に該当し、Hjelm の「due to a conflict」表現は Workshop 後の事後業務集中と無関係ではない可能性が高いが、文面に明示はないため確証はできない。
OpenID Foundation 全体動向(11 月)
MODRNA WG として直接の関与・クロスポスト投稿は確認できないが、11 月中の OpenID Foundation 全体としては以下の動きがあった。
- OpenID4VP Implementer's Draft 3 パブリックレビュー開始(2024-11-01〜2024-12-16): AB/Connect WG が 45 日間のパブリックレビューを開始したことを 11/1 にアナウンス(Public Review announcement)。Digital Credentials Query Language の導入、トランザクションデータ機構の追加、
client_id_schemeパラメータの削除といった大きな変更を含む。後の 12/17〜12/24 投票期間に繋がる - AuthZEN Authorization API 1.0 Implementer's Draft 投票(2024-11-07〜2024-11-14): 7 日間の投票期間。MODRNA とは別系統の認可 API 標準化動向
- IPSIE WG 新規設立アナウンス(2024-11-14): エンタープライズ向け既存仕様のセキュア・バイ・デザインプロファイル策定を目的とする新 WG。発起人 7 名、Specifications Council 支持により設立。MODRNA は OIDC プロファイル系列の WG として隣接領域だが、本月の MODRNA ML 上ではクロスポスト・言及なし
- OIDF Outreach Workshop for UAE: FAPI & FAPI Certification(2024-11-20): FAPI WG 主導の対外ワークショップ。アラブ首長国連邦における FAPI 採用拡大を狙うアウトリーチ。MODRNA は出展・登壇関与なし
CAMARA / Mobile Connect コンテキスト
OpenID Foundation は 2023 年 11 月以来 Linux Foundation の CAMARA プロジェクトに Associate Member として参加しており、Bjorn Hjelm は OIDF の CAMARA Liaison Officer を兼務している。11 月中に MODRNA WG として CAMARA 進捗を ML に共有する投稿や、MODRNA × CAMARA の合同セッションを開いた記録は公開情報からは確認できなかった。同月の 11 月 19 日アジェンダの「External Organizations」項目で CAMARA 進捗の口頭共有がなされた可能性はあるが、議事録 non-public のため確定できない。
なお、同月のフランス国内動向として Bouygues Telecom・Free・Orange・SFR の主要 4 MNO が CAMARA ベースの 2 つの API を統一仕様として導入する動きが OIDF の 2024-12-13 News Round-Up で取り上げられているが、これは CAMARA / Linux Foundation 側の動きであり MODRNA WG の直接活動ではない。
IETF / 外部標準化動向
11 月中の IETF 側で MODRNA 仕様群と直結する標準化イベントは確認できない。後の 2025 年 1 月 27 日に開催される OAuth WG interim meeting (interim-2025-oauth-04) で議論される private-key-jwt aud 値曖昧性脆弱性は、本 11 月時点では Datatracker 上にも MODRNA ML 上にも前触れが存在しない(同 interim での発表スライドおよび draft-jones-oauth-rfc7523bis-00 公開はいずれも 2025-01-27)。
7. 今後の予定(2024 年 11 月末時点の視点)
11 月末時点の公開情報からは、MODRNA WG の 12 月以降の明示的な予定は ML・openid.net いずれにも掲載されていない。隔週カデンスと月内事象から推定される事項は以下のとおり。
- 定例コール: 隔週火曜サイクル(11/5 キャンセル、11/19 開催)に従えば 12 月 3 日(火)が次回候補。11/19 アジェンダで「2025 Budget」が AOB に挙げられていたことから、12/3 コールでも継続議論される蓋然性が高い
- 2025 Budget の確定: 11/19 と 12/3 の 2 回コールにわたって AOB として継続審議される予算項目が、12 月末までに OpenID Foundation 執行役員会に提出される段取り。具体的な金額・項目は議事録 non-public のため外部からは追跡不能
- ホリデー期間の運用: 12 月後半(12/17・12/31)の定例コールはホリデー期間と重なるため、開催可否は次回コール(12/3)で判断される見通し(実際、12/16 に Hjelm から両コールキャンセル リマインダが投稿されることになる)
- Implementer's Draft 群の現状維持: Authentication Profile ID1 / Account Porting ID1 / User Questioning API ID2 はいずれも次版改訂の公式アナウンスがなく、現行ステータスを維持
- 隣接 WG 動向の波及監視: 11/1 開始の OpenID4VP Implementer's Draft 3 パブリックレビュー、11/14 設立の IPSIE WG、11/20 の FAPI UAE Workshop といった隣接 WG の動きが MODRNA 仕様群に間接的な影響を及ぼす可能性は残るが、11 月末時点では具体的な合流点は MODRNA WG の公開チャネル上に存在しない
11 月の対外可視な活動は 議長 1 名による運用通知 3 通のみ であり、当時の読者にとっては「10 月 28 日 Workshop の余熱が冷め、12 月の年末縮退運用に向けた静かな月」というシンプルな運用状況のみが共有された月であった。後の月で振り返ると、本月は 12 月の連続キャンセルを経て 2025 年 1 月下旬に IETF OAuth interim と CIBA Core errata 1 draft 公開という形で外部から「目を覚まされる」直前の、2 つ先の静かな月として位置づけられる。
8. 参考情報源
- MODRNA Working Group - OpenID Foundation — WG 概要、共同議長(Bjorn Hjelm / John Bradley)、定例コール時刻(隔週火曜 14:00 UTC)、仕様ソース所在
- MODRNA Working Group – Specifications — MODRNA 仕様一覧(Final / Implementer's Draft / Working Draft)と各仕様の概要
- openid-specs-mobile-profile ML アーカイブ — 親インデックス。2024 年 11 月分は Week-of-Mon-20241104 と Week-of-Mon-20241118 のみエントリあり
- Week-of-Mon-20241104 date index — 11/5 Hjelm のキャンセル リマインダおよびカレンダー取り消し通知 2 通を含む週
- REMINDER - MODRNA WG Call Canceled Today (Bjorn Hjelm, 2024-11-05) — 11/5 コール キャンセル リマインダ。「As discussed at the last call」「due to a conflict」の文面
- Canceled event: MODRNA WG @ Tue Nov 5, 2024 (Bjorn Hjelm, 2024-11-05) — Google カレンダー取り消し通知。招待者リストに Cisco・T-Mobile・Deutsche Telekom 等を含む
- Week-of-Mon-20241118 date index — 11/19 Hjelm のアジェンダ投稿 1 通のみを含む週
- MODRNA WG Agenda (Bjorn Hjelm, 2024-11-19) — 11/19 コール用アジェンダ。標準 9 項目 + AOB に「2025 Budget」
- openid.net/tag/modrna/ — MODRNA タグ付き公式アナウンス一覧。2024 年 11 月付の MODRNA 固有アナウンスは存在しない
- bitbucket.org/openid/mobile/src/master/ — MODRNA 仕様ソース(Bitbucket Cloud)。Issue / Wiki は外部からの可視性が限定的
- Registration Open for OpenID Foundation Hybrid Workshop at Microsoft on Monday, October 28, 2024 — 直前 10/28 Workshop の告知ページ。アジェンダに 5 分間の MODRNA WG アップデート(Bjorn Hjelm 担当)を含む
- Public Review Period for Proposed Implementer's Draft of OpenID4VP Specification (OIDF, 2024-11-01) — 11/1〜12/16 の 45 日間パブリックレビュー開始アナウンス(隣接 WG 動向)
- Digital Identity News Round-Up: 13 Dec 2024 (OIDF) — 11 月〜12 月初旬のラウンドアップ。フランス 4 MNO の CAMARA ベース API 統一動向に言及(MODRNA 直接関与なし)
- 2024 年 12 月レポート — 翌月の続報(12/3 コールで「2025 Budget」議論継続、12/17・12/31 連続キャンセル)
- 2025 年 1 月レポート — 翌々月の続報(IETF OAuth interim を経て CIBA Core 1.0 errata 1 draft (
-06) が公開、KDDI sm-tanaka 氏による mobile/wallet private-key-jwt スレッドが立ち上がる)