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OpenID Foundation eKYC-IDA WG 活動レポート (2024年6月)

執筆日: 2026-05-21(遡及執筆)

本記事は 2024 年 6 月の活動を 2026-05-21 時点の視点で遡及的にまとめたものです。

1. 概要

eKYC & Identity Assurance Working Group(以下「eKYC-IDA WG」)は、本人確認済みクレーム(verified claims)と検証プロセスのメタデータを OpenID Connect 上で標準的に伝達する仕組みを策定する OpenID Foundation の WG である。中核仕様は OpenID Connect for Identity Assurance 1.0 (OIDC4IDA)OpenID Identity Assurance Schema Definition 1.0OpenID Connect for Identity Assurance Claims Registration 1.0 の 3 本。

2024 年 6 月は eKYC-IDA WG にとって、5 年以上を費やしてきた中核 3 仕様の Final 化に向けて、WG 内最終合意プロセス(14 日通知期間付きの "Final Call")を正式に起動した月 である。この WG 内 Final Call が完了して初めて、翌月(7/10 コール)の WG 内承認 → 7/24 Foundation 全体向け 60 日 Public Review 開始という流れが可能になる。当月の流れを整理すると次のとおり:

  • 6 月 5 日コール(開催): Final 化提案の WG コンセンサス確認。「これ以上何が必要か — 最終レビューのみか?」という形で議題化。Daniel 担当の Issue #1414(VC binding)および Attachments を含めた最終論点の洗い出し
  • 6 月 12 日コール(キャンセル): 議長 Mark Haine の業務出張連続(5 月末の Identiverse 2024 含む)からの疲労回復のため、6/11 に Mark が ML 上でキャンセル提案、6/12 に Mike Leszcz(OIDF Operations Director)が正式キャンセル通知配信。Hodari McClain が「You've earned it, road warrior」と返信
  • 6 月 19 日コール(開催): Mark が Identity Assurance セクションで議題進行を主導した直後、ML 上に "final call" の正式宣言メール(000852)を配信。3 仕様(openid-ida-verified-claims.htmlopenid-connect-4-identity-assurance.htmlopenid-connect-4-ida-claims.html)に対して 14 日通知期間付きで WG 内最終投票を起動し、7 月 10 日コールで投票実施 を予告。7 月 3 日コールについては Mark の予定により「キャンセル見込み」と先回り告知
  • 6 月 26 日コール(開催): Final Call 期間中の継続議題。Issue #1414(VC binding)と Attachments セクションでの議論継続。同日に Mike Leszcz が 7/3 コールの正式キャンセル通知を配信(000854

共同議長体制は当月時点で Mark Haine / Naohiro Fujie / Torsten Lodderstedt / Tony Nadalin の 4 名体制。Mark Haine が毎週水曜の WG コール用アジェンダを ML に配信し、WG 運営の実質的なドライバーを務めていた。Hodari McClain(後の 12 月共同議長就任)は当月時点ではメンバーとしての立場だが、6/12 のキャンセル投稿への返信や、5/29 アジェンダで担当者として記載された PR #213(Dima feedback 1、Issue #1408 対応)など、WG 仕様運営の表面に出てきつつある段階である。

ML 投稿数は 7 通(公開 pipermail 週次アーカイブの厳密な 6/1-6/30 集計、6/26 配信の 7/3 キャンセル通知 000854 を含めれば 8 通)。内訳は:

  • 6 月 5 日コール用アジェンダ(Mark Haine、000847
  • 6 月 11 日の 6/12 コールキャンセル提案(Mark Haine、000848
  • 6 月 12 日の Google Calendar キャンセル通知(Mike Leszcz、000849
  • 6 月 12 日のキャンセル投稿への返信(Hodari McClain、000850
  • 6 月 19 日コール用アジェンダおよび直後の Final Call 正式宣言(Mark Haine、000851000852
  • 6 月 26 日コール用アジェンダ(Mark Haine、000853

加えて 6 月 26 日に Mike Leszcz が 7/3 コール正式キャンセル通知(000854)を配信したが、これは 7 月運営に関する事務通知であるため本稿では §6 関連イベント表にのみ参照する。返信付きの技術議論スレッドは 6/11-12 のコールキャンセル運営スレッド(Mark の提案 → Hodari の返信)のみで、Identity Assurance 系の技術論点に対する ML 上の応答は当月内には記録されていない。Bitbucket 上の PR / Issue 議論および WG コール内議論が中心の月であった。

eKYC-IDA WG の正式リポジトリは bitbucket.org/openid/ekyc-ida であり、GitHub 上の openid/ekyc-ida は当月時点で公開リポジトリとして存在しない(404)。Bitbucket Cloud は SPA レンダリングのため WebFetch では Issue / Wiki / PR 本文を取得できない構造的制約があり、本稿は ML pipermail 公開アーカイブの 6 月期投稿および openid.net の関連公式アナウンス を一次情報の中核に据えて再構成している。議事録は WG ポリシーにより non-public で、ML アジェンダから内容を間接再構成する。

2. 公開された仕様・ドラフト改訂

2.1 6 月 19 日 — Mark Haine による "Final Call" の正式起動(WG 内最終合意プロセス)

6 月 19 日、Mark Haine が WG ML 上に Final Call 宣言メール(000852)を配信。本メールは Foundation 全体向け 60 日 Public Review(7/24 開始)の前段にあたる、WG 内最終合意の正式起動 に相当する。要旨:

  • 3 仕様(openid-ida-verified-claims.htmlopenid-connect-4-identity-assurance.htmlopenid-connect-4-ida-claims.html)について Final Call を宣言
  • 「WG が対応すべきフィードバック項目がないと判断される限り、14 日通知期間後の WG コールで投票を実施する」("assuming there are no items of feedback that the WG decides need to be addressed we will vote on proposing these documents at the Working Group call after the 14 day notice period")
  • Mark 自身の予定により 7 月 3 日コールはキャンセル見込み。投票は 7 月 10 日コールで実施 することを提案

この 14 日通知期間付き Final Call は、OIDF の Process Document における Foundation-wide Vote 通知(後の 9/9 Notice of Vote)とは別物で、WG 内で Foundation Vote 提案決議を行うための WG ローカルな最終確認プロセス である。7/10 コール用アジェンダ(000855)の Identity Assurance セクション冒頭に「Final Call – Decision to propose final?」が議題として明示登場することになるのは、この 6/19 宣言を起点とする 14 日通知の満了タイミングと完全に一致している。

注目すべきは、3 仕様のリストが「Verified Claims(後の Schema Definition)/OIDC4IDA 本体/Claims Registration」という 既に 3 本立て構成 で記載されている点である。6/5 アジェンダ(000847)の Identity Assurance セクションにも同じ 3 仕様の Bitbucket URL(openid-ida-verified-claims.htmlopenid-connect-4-identity-assurance.htmlopenid-connect-4-ida-claims.html)が既に明示列挙されており、7/24 Public Review 起動時の draft 14 / draft 00 / draft 00 系列は、6 月当初から WG 内では 3 本立てとして扱われる前提が整っていたことが読み取れる。-13 までは 1 本の長大な仕様だったものを Final 化に当たって 3 本へ再構成する編集判断は、6 月以前(5/29 アジェンダの PR #213 = Hodari 担当の Dima feedback 1 対応など)に既に進行していた作業の延長である。

6 月期間中の Bitbucket 側ドラフト本体に対する新規版番号公開アナウンスは確認できない。openid.net 上の公式ドラフト URL(draft 14 / draft 00 / draft 00 系列)は 7 月 24 日 Public Review 起動と同日に初公開 されており、6 月時点ではまだ openid.net 上には掲載されていない。WG コール内では Bitbucket 上のエディタブランチで作業中の draft 13 系列を最終確認対象として扱っていたと推定される。

2.2 当月の作業対象 PR / Issue(Bitbucket、ML アジェンダから抽出)

6/5・6/19・6/26 の 3 本のコール用アジェンダから抽出した作業対象を整理する。番号は Bitbucket 上のもの。

Identity Assurance(中核仕様)— Final Call 議論

  • PR #213 — Dima feedback 1(Hodari 担当、Issue #1408 対応): 5/29 アジェンダ(Identiverse 2024 期間中のハイブリッドコール)の議題で初登場。6 月のアジェンダには明示記載がないが、Final Call 起動の前提となる editorial 修正の一部として 5 月末 〜 6 月前半に処理されたと推定される
  • Issue #1414(Daniel 担当、VC bindingDiscuss a way to express binding claims): 6/5・6/19・6/26 のすべてのコールアジェンダに継続項目化。Verifiable Credentials バインディング表現の検討。当月の Identity Assurance セクションで毎週議題化された最重要技術論点で、結果的に Public Review 起動(7/24)のスコープには含まれず継続論点として残ることになる

Profiles and Registries

  • Issue #1390(Mark 担当、document type nowhere defined): 6/5・6/19・6/26 すべてのアジェンダで継続項目化。「document type」が仕様中のどこにも定義されていないという指摘
  • Issue #1339Create profiles of the OIDC4IDA spec): 6/5・6/19・6/26 すべてのアジェンダで継続項目化。OIDC4IDA の用途別プロファイル整備の長期議題

Attachments — Identity Assurance 内の継続議題

  • 6/5・6/19・6/26 のいずれのアジェンダ(000847000851000853)でも Identity Assurance セクション内に 「Attachments」項目 が継続的に列挙されており、Issue #1414(VC binding)と並んで Final Call 期間中の主要な技術論点として位置付けられていた(5/29 アジェンダにも既に同項目が記載されている)。Final 化対象 3 仕様(Verified Claims / OIDC4IDA / Claims Registration)とは別トラックとして扱われ、7 月以降のアジェンダで Issue / PR レベルの議論として本格展開されることになる

Authority — Implementers Draft 1 へ向けた継続議論

  • draft report on age-appropriate internet and parental delegation authority: 6/5・6/19・6/26 すべてのアジェンダの Authority セクションで継続言及。年齢適合インターネット(age-appropriate internet)と親による権限委譲(parental delegation)に関する draft report への関心が表明されており、Authority 仕様の主要ユースケースの一つとして検討が継続
  • EUDI LSPs(Large Scale Pilots)legal entity / age considerations: 同じく 6 月全アジェンダの Authority セクションで言及。EU の EUDI Wallet Large Scale Pilots における法人・年齢関連の取り扱いを Authority 仕様の参照点として議論

EUDI LSPs への言及は、当月 6 月初頭の EIC 2024(European Identity and Cloud Conference 2024、6/4-7 Berlin) との時期的整合性が高い。EUDI Wallet Architecture and Reference Framework(ARF)周辺で進行していた LSP の知見を eKYC-IDA WG の Authority 仕様に取り込もうとする WG メンバーの関心が、当月のアジェンダに継続的に反映されていた構図と読める。

3. ミーティングと議論

eKYC-IDA WG は毎週水曜 UTC 15:00(米国東部 11:00 EDT 相当)に定例コールを実施する。議事録は non-public(公開ポリシー対象外)であるため、本節は ML 上のアジェンダおよび関連投稿から再構成している。

日付 (2024年)ステータスML 上の根拠
6 月 5 日(水)開催(Final 化提案の WG コンセンサス確認)Mark Haine が同日 14:08 UTC にアジェンダ配信(000847
6 月 12 日(水)キャンセル(Mark の業務出張連続疲労)Mark Haine の 6/11 提案(000848)/Mike Leszcz の 6/12 正式通知(000849
6 月 19 日(水)開催Final Call 14 日通知期間を ML 上で正式起動Mark Haine が同日 13:45 UTC にアジェンダ配信(000851)。15:43 UTC に Final Call 宣言メール(000852
6 月 26 日(水)開催(Final Call 期間中の継続議論)Mark Haine が同日 15:03 UTC にアジェンダ配信(000853

6 月 5 日コール — Final 化提案の WG コンセンサス確認

Mark Haine が同日 14:08 UTC にアジェンダ配信(000847)。EIC 2024(6/4-7 Berlin)の会期 2 日目に当たるタイミングで、Identity Assurance セクションで Final 化提案の WG コンセンサスを 2 週間 Final Call 期間で確認する という運営方針が議題化された。アジェンダ本文には「Final Call Issues & PRs: None reported」「Working group consensus sought on proposal for final OIDF vote with a two-week final call period」と明記されている。

主要セクション構成:

  • External Organizations & Events: 一般的な外部イベント言及枠
  • Identity Assurance: Final Call Issues & PRs("NONE!" と記載)、3 仕様の Bitbucket URL 列挙、Final OIDF vote 提案への WG コンセンサス確認(2 週間 Final Call 期間付き)、Issue #1414(Daniel、VC binding)、Attachments、「Final 化に向けて他に何が必要か」議論
  • Profiles and Registries: Issue #1390(document type 定義欠落)、Issue #1339(OIDC4IDA プロファイル作成)
  • Authority: age-appropriate internet と parental delegation authority の draft report への関心、EUDI LSPs の legal entity / age 関連考察
  • AOB

このコールの構造的特徴は 「2 週間 Final Call 期間」の運営フレームワークが議題化された ことである。6/19 メール(000852)で 14 日通知期間付き Final Call 宣言が正式起動するのは、この 6/5 コールで WG 内合意が形成されたことの ML 上での発表に相当する。Final Call Issues & PRs が「NONE!」と記載されている点は、Final 化前提の editorial 修正サイクル(5 月末までに PR #213 等で完了)が既に一段落していた状態を示唆する。

6 月 12 日コール — キャンセル(Mark の業務出張連続疲労)

6 月 11 日 13:18 UTC、Mark Haine が WG ML に eKYC and IDA WG Call 11-06-2024 CANCELLED の件名で提案メールを配信(注: 件名は「11-06-2024」だが本文の対象コールは 6/12 水曜)。本文要旨:

  • 「直近数週間の業務出張」("the last few weeks of travelling with work")から、明日は休暇を取りたい("taking a day off work tomorrow")
  • 他のメンバーが代理議長を務める強い希望がない限り、6/12 コールはキャンセル提案

この「直近数週間の業務出張」は、時期的に 5 月末の Identiverse 2024(5/28-31 Las Vegas、WG コールは Aria Conference Center の Bluethorn 8 でハイブリッド開催)と 6 月初頭の EIC 2024(6/4-7 Berlin)の連続出張 を指していると読める。5/29 アジェンダ(000845)が Las Vegas のハイブリッド開催であった点と、6/5 コールが EIC 開催中に開かれた点を合わせると、Mark Haine は北米西海岸 → 欧州中部の連続移動から数日後にあたる 6/12 を休暇日に充てたことになる。

6 月 12 日 15:56 UTC、Mike Leszcz(OIDF Operations Director)が Google Calendar 経由で Canceled event: eKYC-IDA WG Call @ Wed Jun 12, 2024 11am - 12pm (EDT) の正式キャンセル通知を ML 配信。15 名前後の招待者リストが添付されており、当時の WG コール参加者規模の把握に資する公開記録となっている。

同日、Hodari McClain が Mark のキャンセル提案に対して 短い返信 を投稿:

You've earned it, road warrior

末尾には Hodari 定番の署名フレーズ「Chance favors the prepared mind」(パスツール由来の格言、ISO PAS Submission RFC 8/29 配信時にも使用される署名)が添えられている。Hodari McClain が WG ML 上で交流的な投稿を行った当月唯一の記録 で、後の共同議長就任に至る信頼関係構築の一端が読み取れる。

6 月 19 日コール — Final Call 14 日通知期間を ML 上で正式起動

Mark Haine が同日 13:45 UTC にアジェンダ配信(000851)。アジェンダ本文の Identity Assurance – Final Call セクションには 3 仕様(OpenID IDA Verified Claims / OpenID Connect 4 Identity Assurance / OpenID Connect 4 IDA Claims)が明示列挙され、Issue #1414(Daniel、VC binding)、そして 「Final 化に向けてあと何が必要か — 単に最終レビューだけか?」("what else is needed for us to push this toward final? – just final reviews?")という問いが議題化された。

主要セクション構成:

  • Brief Review: External organizations and events overview
  • Identity Assurance – Final Call: WG consensus sought on proposal for OIDF vote (2 週間 Final Call 期間)、3 仕様明示リスト、Issue #1414(Daniel、VC binding)、Attachments、Final 化に向けた追加作業の確認
  • Profiles and Registries: Issue #1390(document type 定義欠落)、Issue #1339(OIDC4IDA プロファイル作成)
  • Authority: age-appropriate internet と parental delegation authority の draft report 関心、EUDI LSPs の legal entity / age 関連
  • AOB

そして同日 15:43 UTC、Mark が Final Call の正式宣言メール000852)を ML 配信。要点を本文から再構成すると:

  • 「以下のドラフト群について Final Call を起動する」: openid-ida-verified-claims.htmlopenid-connect-4-identity-assurance.htmlopenid-connect-4-ida-claims.html
  • WG が対応すべきフィードバック項目がないと判断される限り、14 日通知期間後の WG コールで投票を実施する
  • Mark 自身の予定により 7 月 3 日コールはキャンセル見込み。投票は 7 月 10 日コールで実施 することを提案

この投稿は 当月の WG 運営の正式な転換点 であり、本メール配信から 14 日後の 7 月 3 日(実際にはキャンセル)の翌週 7 月 10 日コールで Final 化提案決議に進む段取りが ML 上で公式に予告された。7 月 24 日 Public Review 開始(Marie Jordan 署名)の上流工程は、この 6/19 19 時台のメール 1 通から始まっている。

6 月 26 日コール — Final Call 期間中の継続議論

Mark Haine が同日 15:03 UTC にアジェンダ配信(000853)。アジェンダ本文の冒頭で「アジェンダ配信が遅くなったことへの謝罪」が記載されており(コール開始 1 時間前の配信)、6/19 の Final Call 起動後の通常運営復帰途上であったことが伺える。

主要セクション構成:

  • External Organizations & Events Review: 外部イベント概観
  • Identity Assurance – Final Call:
    • Issue #1414(Daniel、VC binding)— Discuss a way to express binding claims
    • Attachments — 「advance に向けて何が必要か」議論(5/29・6/5・6/19 から継続)
    • 「Final 化に向けて他に何が必要か — 最終レビューのみか?」
  • Profiles and Registries: Issue #1390(document type 定義欠落)、Issue #1339(OIDC4IDA プロファイル)
  • Authority: age-appropriate internet / parental delegation の draft report、EUDI Legal Service Provider の entity / age 関連
  • AOB

このコールの構造的特徴は、6/19 に正式起動した 14 日通知期間の Final Call の最中における 継続論点の絞り込み を行ったことである。Identity Assurance – Final Call セクションでは Issue #1414(VC binding)と Attachments が主要な技術論点として継続列挙され、Final 化対象 3 仕様(Verified Claims / OIDC4IDA / Claims Registration)と並行して Attachments 仕様の advance(次の Implementers Draft)を進める段取りが WG として確認されていたと読める。結果的に Attachments と Issue #1414 はいずれも Public Review 起動(7/24)のスコープには含まれず、7 月以降のアジェンダで独立トラックとして継続議題化されることになる。

なお、同日 15:25 UTC に Mike Leszcz が 7 月 3 日コールの正式キャンセル通知000854)を ML 配信。これは 6/19 Mark の Final Call メールで予告されていた 7/3 キャンセルの事務確定にあたる。本通知は厳密には 7 月運営に関する事務メールであるが、6/26 配信日として 6 月 ML 記録に含まれる。

4. メーリングリストの主要スレッド

openid-specs-ekyc-ida ML(アーカイブ)は週次インデックス形式。2024 年 6 月の投稿数は 7 通(6/26 配信の Mike Leszcz による 7/3 コールキャンセル通知を 7 月運営扱いで除外した場合)または 8 通(同通知含む)。返信付きスレッドは 6/11-12 のコールキャンセル運営スレッド(Mark → Hodari の 1 往復)のみで、技術論点に対する ML 上の応答スレッドは当月内には記録されていない。

4.1 eKYC and IDA WG Agenda 05-06-2024 — 2024 年 6 月 5 日(Mark Haine)

EIC 2024(Berlin)会期 2 日目のコール用アジェンダ。Identity Assurance セクションで 「Final OIDF vote 提案への WG コンセンサスを 2 週間 Final Call 期間付きで確認する」 という運営方針が議題化された。本アジェンダの Final Call Issues & PRs が「NONE!」と記載されている点は、5/29 Identiverse アジェンダで処理されていた PR #213(Hodari 担当、Issue #1408 = Dima feedback 1 対応)等の editorial 修正が 5 月末までに一段落していた状態を示唆する。Final Call 対象として 3 仕様(openid-ida-verified-claims.htmlopenid-connect-4-identity-assurance.htmlopenid-connect-4-ida-claims.html)の Bitbucket URL が既に明示列挙され、Issue #1414(Daniel、VC binding)および Attachments が継続論点として記載されている。

4.2 eKYC and IDA WG Call 11-06-2024 CANCELLED — 2024 年 6 月 11 日(Mark Haine)

6 月 12 日コールのキャンセル提案。Mark が「the last few weeks of travelling with work」(直近数週間の業務出張)からの疲労回復のため、休暇日に充てたい旨を表明。5 月末の Identiverse 2024(Las Vegas)と 6 月初頭の EIC 2024(Berlin)の連続出張の文脈と読める。「他のメンバーが代理議長を希望する場合を除き」キャンセル提案。

4.3 Canceled event: eKYC-IDA WG Call @ Wed Jun 12, 2024 11am - 12pm (EDT) — 2024 年 6 月 12 日(Mike Leszcz)

Mike Leszcz(OIDF Operations Director)による Google Calendar 経由の正式キャンセル通知。15 名前後の招待者リストが ML アーカイブ上に公開記録として残っており、当時の WG コール参加者規模を把握できる貴重な記録となっている。

4.4 Re: eKYC and IDA WG Call 11-06-2024 CANCELLED — 2024 年 6 月 12 日(Hodari McClain)

Mark のキャンセル提案への返信:

You've earned it, road warrior

末尾に「Chance favors the prepared mind」(パスツール由来の格言)の署名。当月唯一の交流的な ML 投稿で、後の Hodari McClain ISO PAS Submission RFC(8/29、000864)の署名フレーズと同じ。

4.5 eKYC and IDA WG Agenda 19-06-2024 — 2024 年 6 月 19 日(Mark Haine)

6/12 キャンセル後の最初のコール用アジェンダ。Identity Assurance – Final Call セクションで 3 仕様(OpenID IDA Verified Claims / OpenID Connect 4 Identity Assurance / OpenID Connect 4 IDA Claims)を明示列挙、Issue #1414(Daniel、VC binding)、Attachments、Final 化に向けた追加作業確認("what else is needed for us to push this toward final? – just final reviews?")が議題化された。

4.6 Final Call 宣言メール(件名: eKYC and IDA WG Agenda 19-06-2024 — 同一スレッド内) — 2024 年 6 月 19 日 15:43 UTC(Mark Haine)

当月最重要の ML 投稿。WG コール終了直後と推定されるタイミングで、3 仕様(openid-ida-verified-claims.htmlopenid-connect-4-identity-assurance.htmlopenid-connect-4-ida-claims.html)に対する Final Call の正式宣言を ML に配信:

  • 「WG が対応すべきフィードバック項目がないと判断される限り、14 日通知期間後の WG コールで投票を実施する」
  • 「私(Mark)の予定により 7 月 3 日コールはキャンセル見込みなので、投票は 7 月 10 日コールで実施することを提案する」

このメールは 7 月 10 日コール(Final 化提案決議)→ 7 月 17 日コール(Foundation-wide Vote Update)→ 7 月 24 日 60 日 Public Review 開始(Marie Jordan 署名) という Final 化プロセスの全段取りの起点である。WG 内最終合意(14 日通知)→ WG 内承認決議 → Foundation 全体向け 60 日 Public Review → Notice of Vote(9/9)→ 早期投票(9/16)→ 正式投票(9/23-30)→ Final 承認(10/3)という一連のスケジュールが、この 1 通から逆算的に確定したことになる。

4.7 eKYC and IDA WG Agenda 26-06-2024 — 2024 年 6 月 26 日(Mark Haine)

Final Call 期間中の継続議論用アジェンダ。Identity Assurance – Final Call セクション内で Issue #1414(Daniel、VC binding)と Attachments(5/29 アジェンダ以来継続している項目で「advance に向けて何が必要か」議論)が主要技術論点として継続列挙され、Final 化に向けた追加作業確認も再掲。Profiles and Registries / Authority 各節は前週からの継続。アジェンダ配信が遅くなったことへの謝罪も記載されており、Mark の業務復帰途上が伺える。

5. GitHub 上の議論

eKYC-IDA WG は GitHub 上にメイン仕様リポジトリを保有していない。レジストリ上は https://github.com/openid/ekyc-ida が記載されているが、2024 年 6 月時点では当該パスは 404 を返し、独立した有意な GitHub 活動はない。WG のメイン作業は bitbucket.org/openid/ekyc-ida で行われている。後の 2026 年に立ち上がることになる補助リポジトリ(openid/eKYC-IDA-Authorityopenid/eKYC-IDA-Registry-Profile)は 2024 年 6 月時点では存在しない。

Bitbucket Cloud は SPA(JavaScript レンダリング)で HTML を生成するため、WebFetch 経由では Issue / Wiki / Pull Request の本文を取得できない構造的制約がある。本稿では §2・§3・§4 で示したとおり、ML 上のアジェンダメール(6/5・6/19・6/26 の 3 通および 6/19 Final Call 宣言メール)に列挙された Issue / PR 番号と短い説明文 を一次情報として再構成し、Bitbucket 直接アクセスを伴わない範囲で WG の議論内容を表現している。

6 月時点で ML から確認できる Bitbucket 側の主要な「動き」は次の 4 群に整理できる:

  • Identity Assurance(中核仕様)— Final Call 期間中の継続議論:
    • PR #213(Hodari 担当、Dima feedback 1 / Issue #1408 対応): 5/29 アジェンダ初出、6 月期間の Final Call Issues & PRs に「None reported」と書かれた状態を作るための editorial 修正の代表例
    • Issue #1414(Daniel、VC binding / "Discuss a way to express binding claims"): 6/5・6/19・6/26 すべてのアジェンダで継続議論。Public Review 起動スコープから外す判断は 7 月以降の議論で確定する
  • Attachments — Identity Assurance 内で継続議題化:
    • 6/5・6/19・6/26 のすべてのアジェンダで Identity Assurance セクション内に「Attachments」項目が継続列挙(5/29 アジェンダから引き継がれている長期項目)。「advance に向けて何が必要か」の枠で議題化されており、Issue / PR 番号は当月の ML 上には未列挙だが、7 月以降に Issue #1417(Kosuke、Attachment txn claim no longer relevant)/ Issue #1418(Attachment editorial)/ PR #220 / PR #221(Hodari/Kosuke、txncheck_id)等の議論が本格化することになる予備段階
  • Profiles and Registries — 継続議論:
    • Issue #1390(Mark、document type nowhere defined): 6 月全アジェンダで継続
    • Issue #1339Create profiles of the OIDC4IDA spec): 6 月全アジェンダで継続
  • Authority — Implementers Draft 1 へ向けた予備議論:
    • age-appropriate internet と parental delegation authority の draft report への関心: 6 月全アジェンダで継続。後の Issue #1427(Mark/Rachel、SNS 親子関係例、7/31 アジェンダ初登場)/ PR #230(add parent child example、8/28 アジェンダ初登場)に直接連なる長期議題の予備段階
    • EUDI LSPs の legal entity / age 関連考察: 6 月全アジェンダで継続。EU の EUDI Wallet Architecture and Reference Framework との接続を意識した議題化

6 月期間の WG 活動の本質は、5 年以上を費やしてきた中核 3 仕様の Final 化に向けて、WG 内最終合意プロセスを 6/19 の Final Call 宣言メール 1 通で公式起動し、7/10 投票 → 7/24 Public Review → 10/3 Final 承認という Final 化スケジュールの全段取りを上流から確定させた ことに集約される。Issue #1414(VC binding)の継続論点扱い、Attachments の独立トラック化(5/29 から 6 月全コールで継続議題)、Authority の長期予備議論継続といった、Final 化スコープを締めるための「外す判断」を同時並行で進めていた構図が読み取れる。

6. 関連イベント

6 月の WG 定例コールアジェンダおよび ML 投稿で参加者へ共有された/WG 運営・OIDC4IDA に間接的に関連した主なイベント・対外的告知:

日程 (2024年)種別出典・要点
2024-05-28 〜 05-31Identiverse 2024(Las Vegas、Aria Conference Center)5/29 アジェンダ(000845)— WG コールを会場 Bluethorn 8 でハイブリッド開催
2024-06-04 〜 06-07EIC 2024(European Identity and Cloud Conference 2024、Berlin)OpenID Foundation 関係者が登壇。WG コールアジェンダ(6/5)が EIC 会期中に配信された
2024-06-05eKYC-IDA WG 定例コール 開催(Final 化提案 WG コンセンサス確認)000847
2024-06-11Mark Haine の 6/12 コールキャンセル提案000848
2024-06-12eKYC-IDA WG 定例コール キャンセル(Mark の業務出張連続疲労)000849(Mike Leszcz 正式通知)
2024-06-12Hodari McClain の「You've earned it, road warrior」返信000850
2024-06-19eKYC-IDA WG 定例コール 開催000851
2024-06-19Mark Haine による Final Call 正式宣言(14 日通知期間、7/10 コール投票予告)000852
2024-06-26eKYC-IDA WG 定例コール 開催(Final Call 期間中の継続議論)000853
2024-06-26Mike Leszcz が 7/3 コール正式キャンセル通知配信(6/19 Mark 予告の事務確定)000854

Identiverse 2024(5/28-31 Las Vegas)と EIC 2024(6/4-7 Berlin)の連続開催は、当月の WG 運営に直接影響した。5/29 WG コールが Identiverse 会場のハイブリッド開催であった点、6/5 WG コール用アジェンダが EIC 会期中に配信された点、そして 6/12 コールが Mark Haine の「直近数週間の業務出張」疲労によりキャンセルされた点は、すべてこの 2 大カンファレンスの連続出張パターンの帰結である。

EIC 2024 では OpenID Foundation 関係者が登壇しており、6 月の Authority セクションで継続的に言及された EUDI LSPs(Large Scale Pilots)の legal entity / age considerations は EIC 周辺で交換された知見を WG に取り込もうとする WG メンバーの関心の反映と読める。EUDI Wallet Architecture and Reference Framework(ARF)周辺の動向は、後の 2026 年の eKYC-IDA WG の中心議題の一つになっていくが、その萌芽は 2024 年 6 月の Authority セクション継続議論にさかのぼる。

7. 今後の予定(2024 年 6 月末時点の視点)

6 月末時点(Final Call 期間中の 1 週目、7/10 投票予定の 14 日前)で eKYC-IDA WG が見据えていた当面の予定:

  • 2024 年 7 月 3 日コール: Mark Haine の予定によりキャンセル見込み(6/26 に Mike Leszcz が正式キャンセル通知配信済み)
  • 2024 年 7 月 10 日コール: Final 化提案決議の WG 投票: 6/19 Final Call 宣言メールで予告された 14 日通知期間満了後の最初の WG コール。「proposing final versions for IDA drafts」の WG 内承認を目指す
  • 2024 年 7 月中旬以降: Foundation 全体向け 60 日 Public Review 起動準備: WG 内承認決議後、OIDF Board Secretary(Marie Jordan)による正式 Public Review アナウンスの段取り
  • Identity Assurance(中核仕様)— Final Call 期間中の最終確認: 3 仕様(OpenID IDA Verified Claims / OpenID Connect 4 Identity Assurance / OpenID Connect 4 IDA Claims)について WG 内フィードバックの最終取り込み
  • Issue #1414(Daniel、VC binding): 継続論点。Public Review スコープから外すか含めるかの最終判断
  • Attachments: 5/29 以降のアジェンダで継続議題化されている「advance に向けて何が必要か」議論の継続。Final 化対象 3 仕様とは別トラックでの advance 検討
  • Profiles and Registries — 継続議論: Issue #1390(document type 定義欠落)/ Issue #1339(OIDC4IDA プロファイル)の継続
  • Authority — Implementers Draft 1 へ向けた予備議論継続: age-appropriate internet / parental delegation authority の draft report 検討、EUDI LSPs 知見の取り込み

8. 参考情報源