Skip to content

OpenID Foundation DADE CG 活動レポート (2025年2月)

執筆日: 2026-05-18(2025 年 2 月の活動を遡及してまとめたレポートです)

1. 概要

Death and the Digital Estate Community Group(以下「DADE CG」)は、個人の死亡または機能喪失時に自身のデジタルデータがどのように扱われるかを当事者が選択できるようにするための技術・法律・文化的要件とユースケースを整理する OpenID Foundation の Community Group である。共同議長は Dean H. Saxe(Beyond Identity)、Eve Maler(Venn Factory)、Mike Kiser(SailPoint)の 3 名で、隔週の定例コール(水曜 PT 15:00 と金曜 PT 07:00 を交互に設定)を運営している。2024 年 9 月発足から 5 か月目にあたる 2025 年 2 月は、グループとしての立ち上げ期の真っ只中に位置する。

2025 年 2 月の DADE CG は、「ユースケース定義のフレームワーク化」と「Cybersecurity Awareness Month(10 月)向けホワイトペーパー構想の方向付け」を両輪で進めた月 となった。2 月 5 日定例会で Dean Saxe がホワイトペーパー構想(GitHub issue #23)を提示してコンテンツ層別化の方針を固め、2 月 6 日には Victor Lu が MITRE のスレットモデリングを参照した「3 階層ユースケースパターン」を Issue #27 として正式に立ち上げた。2 月 21 日定例会ではこの 3 階層モデルが議論の中心となり、Sean Miller が Mark Haine のレビューを受けて葬儀社向けツール情報をリソースとして追加する PR #28 を作成・マージするという、CG として初めての「議論→ Issue 化→ PR マージ」のフルサイクルが完結した。

並行して、月末には Eve Maler が Mark Haine の OpenID Connect Authority claims 拡張仕様 に対する 2 本立ての本格的なレビューコメントを ML に投稿し、DADE CG が抽象的なユースケース議論から 「既存仕様(authority claims、on behalf of セマンティクス、directed consent モデル)に対する具体的フィードバック」 へ越境する最初の事例を残した。これは 3 月以降に DADE CG が eKYC-IDA WG・HEART Profile 等と接続していく流れの直接的な伏線である。

メーリングリスト(openid-digital-directives)の 2 月投稿は 計 11 件(前月 1 月の投稿数を上回り、CG 立ち上げ後で最も活発な月のひとつ)、GitHub では issue 1 件・PR 1 件・コミット 1 件 が発生した。議事録は 2 月 5 日・2 月 21 日の 2 回分が GitHub wiki 上に公開されている。

2. 公開された仕様・ドラフト改訂

DADE CG は OIDF の正式な仕様策定 WG ではなく Community Group であり、Final Specification や Implementer's Draft の発行対象ではない。2025 年 2 月時点で公開されたドラフト本体・ホワイトペーパーは存在しない。

ただし、後続月のホワイトペーパー(後に「The Unfinished Digital Estate」として結実)の構想は、2 月 5 日定例会で初めて「Cybersecurity Awareness Month 2025(10 月)連動コンテンツ」として具体化されている。議事録によれば、Dean Saxe は GitHub Issue #23(Educational Materials)として既存の問題提起をたたき台に、「個人向け」と「ソリューションプロバイダ向け」の レイヤード・アプローチ で October のキャンペーンをカバーする方針を提示した。この時点では「ホワイトペーパー本体」「短形ブログ群」のどちらを軸にするかは未確定で、3 月の定例会で「long-form と short-form の並行運用」として具体化されることになる。

DADE CG 自体の成果物ではないが、2 月末に ML で本格的なレビューが開始された Mark Haine の OpenID Connect Authority claims 拡張仕様(DADE CG が「delegated authority のギャップ」を語る際の主要な参照仕様のひとつ)への Eve Maler の長文コメント 2 通(§4.3)は、DADE CG が関連仕様にフィードバックを返す最初の実例として記録に値する。

3. ミーティングと議論

DADE CG は 2 月に 2 回の定例会を開催した。いずれも議事録が GitHub wiki 上で公開されている。

日付 (2025 年)曜日時間議事録
2 月 5 日3:00 PM PSTGitHub wiki
2 月 21 日7:00 AM PSTGitHub wiki

2 月 21 日コールについては、Dean Saxe が 2 月 10 日に「共同議長 3 名のうち 2 名が 2 月 21 日に参加不可」を理由に 2 月 24 日への移動を打診したが(§4.1)、コミュニティの返信を踏まえて 2 月 12 日に「予定通り 2 月 21 日に実施」と最終決定されている。結果として 2 月 21 日コールは Dean Saxe と Eve Maler の両共同議長が欠席し、Mike Kiser が単独で議長役・ノートテイカーを兼ねる形になった。

2 月 5 日定例会(水曜 PT 15:00)

  • 参加者(5 名): Dean H. Saxe(Beyond Identity)、Victor Lu(Independent)、Eve Maler(Venn Factory)、Tim Lloyd("Other Tim")、Mike Kiser(SailPoint)

議題 1: ユースケース開発

実世界シナリオの収集が中心議題となった。優先ユースケースとして以下が浮上した(議事録 2025-02-05 より):

  • ドメイン名の所有と移転: 故人のドメイン名を信託(trust)等の法人格に移転する手続き、家族で共有していたオンラインサービス(家庭の光熱・通信契約等を含む)の死後の扱い

3 月以降に DADE CG が繰り返し参照する「現実世界の事例カタログ」収集の方針が、ここで具体化されている。

議題 2: Educational Materials(Issue #23)

Dean Saxe が Cybersecurity Awareness Month 2025(10 月)向けコンテンツ案を提示した。10 月は Authenticate・IIW など複数のイベントも開催されることが共有され、以下の方針が決まった(議事録 2025-02-05 より):

  • レイヤード・アプローチ: 「個人向け」と「ソリューションプロバイダ向け」の 2 層でターゲット別にコンテンツを設計
  • 文化的文脈と多様な視点 への配慮を念頭に置く

この方針は 3 月以降「ホワイトペーパー+短形ブログ並行運用」として具体化されていく。

法律専門家から情報を集める質問票の準備が進行中であることが共有された。当時のタイミングを反映した論点として、議事録には 「最近の暗号資産関連の大統領令を活用し、米国の政策立案者に死後のデジタル資産取り扱いについて働きかける」 という戦略が記録されている。これは 2025 年 1 月 23 日の大統領令 14178「Strengthening American Leadership in Digital Financial Technology」を念頭に置いたものと考えられる。

議題 4: Wiki Refactoring(Issue #17)

GitHub wiki のドキュメンテーションを再編成し、リソースページの作成とナビゲーション改善を行うボランティアを募集する方針が確認された。実作業は後続月への持ち越しとなる。

議題 5: Provider Legacy Contact Documentation(Issue #18)

Dean Saxe が、各サービスの「legacy contact」メカニズム(Facebook の追悼アカウント、Apple の Legacy Contact など)をドキュメント化するテンプレートを用意したことを報告。メンバーは自身の体験をプルリクエストとして提出するよう呼びかけられた。この方針は 2 月 21 日に Sean Miller の PR #28(カナダの葬儀社向けツール追加)として初めて実行に移されることになる。

議題 6: Personhood Credentials と AI

2024 年 8 月公開の "Personhood Credentials" 論文を参照し、「生死状態(aliveness status)」をエージェント型 AI システムが扱う際の含意 が議論された。具体的な仕様レベルの議論には至らなかったが、後に DADE CG が AI エージェントの代理権議論(AIIM CG・AuthZEN との接続)に踏み込む際の遠い起点となる議題である。

議題 7: カンファレンス活動

  • IIW: Dean Saxe が参加予定。ホワイトペーパーとガイダンス文書への寄稿を募集
  • Identiverse: DADE パネル採択済み。法律専門家のパネリストを募集中
  • Authenticate 2025: CFP が 3 月 3 日までオープン。Dean Saxe が Mike Kiser とのパネル案を提出予定
  • EIC: Eve Maler が提出を完了

アクションアイテム

  • ニュースおよび個人的経験からのユースケース収集継続
  • 2025 年 10 月のイニシアチブ向け教材の開発
  • プロバイダの legacy mechanism を記録した PR の提出
  • Identiverse パネル用に弁護士を確保
  • Mark および Eve との「DADE book club」会合のスケジュール調整

2 月 21 日定例会(金曜 PT 07:00)

  • 参加者(5 名): Mike Kiser(SailPoint)、Sean Miller(RSA)、Victor Lu、Mark Haine(OpenID)、Przemek Praszczalek(Mastercard)
  • 議長代行・ノートテイカー: Mike Kiser
  • 共同議長 Dean H. Saxe・Eve Maler はともに欠席

議題 1: Przemek Praszczalek の自己紹介

Mastercard の Przemek Praszczalek が DADE CG に新規参加し、自身の問題意識を共有した(議事録 2025-02-21 より)。

投資仮説として、20 〜 30 年以内に故人に関するデータが生存者に関するデータを上回る可能性がある (Przemek Praszczalek, 議事録 2025-02-21 より要約)

故人データの量的優位という未来予測のもと、コミュニティ参加の拡大にコミットする旨を表明している。

議題 2: 関係性のモデリング(Relationship Management)

Mark Haine と Eve Maler が「関係性のモデリングと表現」について検討してきた内容が議題に上がった。Eve は欠席だったが、後日「book club ミーティングからの知見をグループに発表する」ことをコミットしている。この議題は §4.3 で取り上げる Eve の Authority claims 拡張仕様レビューに直結する伏線となる。

議題 3: ニュース・ケーススタディのレビュー

懸念事例・関連コンテンツとして以下がレビューされた(議事録 2025-02-21 より):

  • Dead Man Walking ケース: 生存しているにもかかわらず法的に死亡宣告された人物の事例。金融および行政手続きにおける深刻な複雑化を引き起こした
  • TikTok / British Teens データ事例: 英国の Data Protection and Digital Information Bill との関連で議論
  • Service Canada のエラー: 人為的ミスにより女性が誤って死亡宣告された事例。死亡証明書がカナダでは権威ある書類として機能し、相互接続された複数の政府システムに情報が伝播するという構造的脆弱性が浮き彫りになった
  • Hacker News のデジタル遺産スレッドCNN ポッドキャスト「死後のデジタルフットプリント」 も関連コンテンツとして共有

Mark Haine は、知人の死後の delegated authority に関する個人的逸話も共有した。

議題 4: ユースケースのフレームワーク

Victor Lu が、MITRE のスレットモデリング・アプローチに着想を得た 3 階層のユースケース構造 を提案した(議事録 2025-02-21 より):

  • Meta Use Cases(概念的・抽象的)
  • Standard Use Cases(具体的シナリオ)
  • Detailed Use Cases(粒度の細かい詳細)

加えて、ユースケース情報の隣に技術的データ(プロトコル / API 情報等)を併載すべきか否かという論点が議論された。この提案は同日 GitHub Issue #27 として正式に文書化されている(§5.1)。

議題 5: 用語と文化的感受性

文化・言語ごとの死関連用語の扱いについて議論された(議事録 2025-02-21 より):

  • Victor Lu: 「アジアのいくつかの文化では『death』という語自体が依然としてタブーであり、『pass away』『moving to the next life』などの代替表現が好まれる」。宗教的視点も死生観の語法を形作る
  • Przemek Praszczalek: 経済的視点を導入。子孫がデジタル遺産を収益化する可能性、デジタル信託(digital trusts)の創設、十分なデジタル資産を持たない個人のデータ管理、といった論点を提起

文化的感受性のテーマは 3 月 5 日の定例会と同日の Dean Saxe による ML スレッド「Cultural sensitivity when referring to death, dying, and the deceased」へと継承される(翌月レポート参照)。

議題 6: グループ名の見直し

Sean Miller が DADE という名称の変更が必要か否かを提起。Mark Haine も検討に値する問いだと同意した一方、「DADE という頭字語は FAPI が下層用語をリブランドしたのと同様、ブランド認知に有用」 という Bjorn からの意見も記録されている(議事録 2025-02-21 より)。この議論は 3 月以降も繰り返し戻ってくることになる。

議題 7: Cybersecurity Awareness Month 向けホワイトペーパー

公開戦略として以下の 2 軸が改めて整理された(議事録 2025-02-21 より):

  • ブログ投稿(focused、短形)
  • ホワイトペーパー(long-form コンテンツ)

Mark Haine は 「執筆作業量を過小評価しないこと、明確な焦点を維持すること」 を warning として強調した。この警鐘は後の月で執筆スケジュール延長の議論として現実化することになる。

アクションアイテム

  • Eve Maler が「関係性のモデリング」に関する book club の知見を発表
  • グループメンバー 1 名が四肢麻痺者の遺産ケーススタディの要点を文書化
  • ホワイトペーパー著者の確定

4. メーリングリストの主要スレッド

openid-digital-directives ML(2025 年 2 月アーカイブ)の 2 月投稿は 計 11 件。内訳は会議運営連絡 4 件、議事録通知 1 件、Weekly GitHub digest(重複送信を含む)4 件、Authority claims レビュー往復 2 件である。月末の Authority claims レビュー(4.3)は DADE CG ML 上で初めて「仕様レビューの本格的な技術討議」が行われたスレッドであり、特筆に値する。

4.1 February 21 meeting - move to February 24? — 2025 年 2 月 10 日(Dean Saxe)

2 月 21 日定例会のリスケ打診スレッド。Dean Saxe は「3 名の共同議長のうち 2 名が 2 月 21 日に参加不可」として 2 月 24 日 7 AM PST への移動を打診し、コミュニティに意見を求めた。

  • Re: ... — Lorrayne Auld(2025-02-10): ML アーカイブ上は HTML 添付のみで本文は plain text として残されていないが、リスケ提案へのフィードバックを返した投稿
  • Re: ... — Dean Saxe(2025-02-12): 「コミュニティからのレスポンスを踏まえ、当初通り 2 月 21 日に開催する」と最終決定を共有

結果として 2 月 21 日コールは Dean Saxe・Eve Maler 不在のまま開催されるが、Mike Kiser・Sean Miller・Victor Lu・Mark Haine・Przemek Praszczalek の 5 名が出席し、§3 で見たとおり実質的な議論(3 階層ユースケース、文化的感受性、グループ名見直し等)が進行する形となった。「主要議長が欠席しても CG として議論を回せるようになった」最初の例として運営上の意義は大きい。

4.2 February 5 Meeting Notes & February 21 Agenda — 2025 年 2 月 11 日(Dean Saxe)

2 月 5 日議事録の GitHub wiki 公開告知と、2 月 21 日定例会のドラフトアジェンダ公開通知。本文は短く、ドラフトアジェンダは事前修正の可能性があると明記されている。事務通知ながら、CG の定常運用が安定してきた表れとして位置づけられる。

4.3 Comments on the OIDC Authority claims extension spec — 2025 年 2 月 27 日(Eve Maler)

DADE CG ML 上で最も技術的に踏み込んだスレッド。Eve Maler が、Mark Haine が提案する OpenID Connect Authority claims 拡張仕様(自然人が他者または法人格に対して持つ権限を表現するためのクレーム拡張)に対する詳細なレビューを 2 通連続で投稿した。

Eve Maler のレビュー骨子:

  • スコープと用語: 「自然人に絞る現行スコープは合理的だが、本仕様は authority を割り当てるメカニズムではなく claims ライブラリとして機能するため、法人格への拡張も妨げる根本要因はない」
  • 定義の明確化: authority の 型の区別 が決定的に不足している。具体例として fiduciary authority(受認者として相手の利益のために行為する権限)と adversarial authority(受刑者を監視する看守のような対立的権限)の対比 を提示し、authority が常に「on behalf of」セマンティクスを持つとは限らないことを指摘
  • 構造上の懸念: 提案された属性が以下 4 つの異なる関心事を混在させているとして再構成を提案
    • エンティティ記述
    • 関係性の特性
    • 状態変化の文脈情報
    • ポリシー指向の制約
  • 関連概念: Eve 自身が 2017 RSA Conference で発表した 「directed consent」 フレームワーク(scope / grantee / environment / usage / downstream delegation の直交ポリシー次元)を参照し、authority grant の設定を直交的に整理する案を提示

2 本目の投稿 #000029(2025-02-28)はほぼ同じ論点の補強・整理である。

このスレッドが DADE CG にとって決定的に重要なのは、CG 発足以来「死後にデジタル資産にアクセスする / させる権限をどう表現するか」という抽象的問いを語ってきたグループが、初めて具体的な仕様ドラフトに対して「fiduciary vs adversarial」「on behalf of の有無」という観点で技術的フィードバックを返した ことにある。3 月 21 日定例会で議題化される「eKYC-IDA WG との接続」「delegated authority credential の不在」の議論は、この 2 月末のレビュー往復が直接の出発点となっている。

4.4 Weekly GitHub digest 群と Aaron Parecki のお詫び

2 月 23 日に 3 回(#000024, #000025, #000026)連続で同内容の Weekly GitHub digest が送信され、Aaron Parecki が #000027 で「Python 通知スクリプトのデバッグ作業中の重複配信」を ML に謝罪した。digest の内容は同一で、いずれも以下 1 件のみを報告している:

  • PR #28: Update resources.md with Tool used by funeral homes in Canada(投稿者: seanmillerrsa、+1/-0、コメントなし)

ML を「GitHub の重要動向を非同期で受け取るチャネル」として位置づける運用が、digest bot 経由で実質稼働を始めた月でもある。

4.5 Minutes for the February 21, 2025 meeting posted — 2025 年 2 月 22 日(Mike Kiser)

2 月 21 日定例会の議事録公開通知。Dean Saxe ではなく議長代行を務めた Mike Kiser が直接 ML に流した点が、§4.1 で見た「主要議長不在でも CG として議論と記録の両方を回せた」事実を裏付けている。

4.6 ML 投稿数の解釈

2 月の 11 件は、4 月(5 件)や 5 月(4 件、推定)との比較で見ると CG 立ち上げ期で最も活発だった月 の 1 つである。ただし内訳の半数(5 件)が GitHub digest と重複配信 + 謝罪で占められており、純粋な人手による投稿は 6 件にとどまる。それでも、月末の Authority claims レビュー往復(2 件)に象徴される 「仕様レベルの技術討議が ML に出始めた」 ことが、量よりも質的な意味で 2 月の特徴となっている。

5. GitHub 上の議論

openid/death-and-the-digital-estate リポジトリの 2025 年 2 月の活動状況:

  • 新規作成された Issue: 1 件(#27)
  • 新規作成・マージされた Pull Request: 1 件(#28、2 月 21 日作成・2 月 23 日マージ)
  • main ブランチへのコミット: 1 件(093a93f、2 月 23 日、Update resources.md (#28)
  • Wiki ページの更新: 2 月 5 日・2 月 21 日の議事録 2 件を新規ページとして追加

CG 発足以来初めて、同じ月内に Issue 起票・PR 作成・PR マージ・コミット・wiki 更新のすべてが揃った月であり、定例会で議論された内容が GitHub 側にも痕跡として残るワークフローが立ち上がった月と言える。

5.1 openid/death-and-the-digital-estate#27 - [Use Case Patterns] Layered approach to define comprehensive, audience-specific use cases

  • 起票: 2025-02-06、Victor Lu(victorjunlu
  • 状態: Open(2025 年 2 月末時点でコメント未着)

2 月 5 日定例会の「ユースケース開発」議題と、2 月 21 日定例会で改めて中心議題となる 3 階層フレームワーク を、文書化された形で GitHub に持ち込んだ起票。Issue body は以下の構造を提案している:

  1. Meta Use Cases: 「Digital Identity and Social Responsibility」、レガシー管理、ソフトウェア開発者の説明責任、AI 生成コンテンツおよび故人アカウントに関する規制ガバナンス
  2. Standard Use Cases: 「Social Media Account Management」(追悼プロセス)、「Online Services Authentication」(定期的なアイデンティティ検証)等
  3. Detailed Use Cases: Facebook 追悼手続き、銀行のアイデンティティ検証プロトコルなどの具体例

「threat model がステークホルダーにとって関連性を保ち続ける」ことと、異なるオーディエンス視点を横断する完全性を両立させることが提案の眼目である。本 Issue は 2 月 21 日定例会で議論の中心に据えられ、Victor 自身が口頭でフレームワークを解説する形を取った。月末時点ではコメントが付いていないが、後続月で DADE CG の Planning Guide / ユースケース整理の基盤として参照され続けることになる。

5.2 openid/death-and-the-digital-estate#28 - Update resources.md with Tool used by funeral homes in Canada

  • 作成: 2025-02-21、Sean Miller(seanmillerrsa
  • マージ: 2025-02-23、Dean Saxe(deansaxe)が "lgtm" でマージ
  • 差分: +1/-0、1 コミット(612e2e2

カナダで葬儀社が利用している、故人のアイデンティティに関連するサービスを集中的にキャンセル / 終了するためのツールへの参照を resources.md に追加する小さな PR。2 月 21 日定例会で Mark Haine がカナダにおける死亡証明書の権威性と Service Canada のエラー事例を語り(§3 議題 3)、同じ日に出席していた Sean Miller が即日 PR を投げる、というコール → アクションの直接的連動が見られる初めての事例である。

PR 自体は議論を伴わずに 2 日後にマージされたが、Provider Legacy Contact Documentation(Issue #18)の方針——「メンバー各自が知っている各国 / 各サービスの legacy mechanism を PR として持ち寄る」——を CG が初めて実行に移した実例 として記録に値する。

5.3 既存 Issue の状況

2 月の定例会で言及された既存 Issue(#17 Wiki Refactoring、#18 Provider Legacy Contact Documentation、#23 Educational Materials、#25 Legal/Regulatory Questionnaire)はいずれも 2 月期間中に新規コメント・状態変更が確認できなかった。議論は議事録と ML 側に集約され、GitHub 上の更新は #27(新規起票)と #28(PR)の 2 本にとどまっている。

6. 関連イベント

暗号資産関連の大統領令(2025-01-23 公布)への言及

2 月 5 日定例会の Legal/Regulatory Questionnaire 議題で、2025 年 1 月 23 日に署名された大統領令「Strengthening American Leadership in Digital Financial Technology」 を活用して米国政策立案者に死後のデジタル資産取り扱いに関する働きかけを行う戦略が議論された。直接の DADE CG イベントではないが、月内の議論を方向づけた外部要因として記録される。

Identiverse 2025 パネル準備(6 月開催予定)

2 月 5 日定例会で「DADE パネルは Identiverse 2025 に採択済み、法律専門家のパネリスト確保が継続課題」と確認された。法律パネリスト探しは 3 月以降も持ち越され、Eve Maler の 6 月 5 日参加不可(3 月 21 日定例会で判明)を経て、最終的には 4 月末に Eternal.me CEO Richard Zack の確定をもって(弁護士ではないが)1 名追加に至る。

Authenticate 2025 CFP(締切 3 月 3 日)

2 月 5 日時点で CFP がオープン中。Dean Saxe が Mike Kiser とのパネル案を提出予定として共有された。投稿提出自体は 2 月末〜 3 月頭の作業となる。

IIW・EIC

  • IIW(4 月 8 〜 10 日): Dean Saxe が参加予定。寄稿募集中
  • EIC(5 月 6 〜 9 日): Eve Maler が提出を完了

いずれも 2 月時点ではセッション採択前の段階にあり、DADE CG としての公式登壇は確定していない。

openid.net 公式アナウンス

2 月期間中に DADE タグ付きの openid.net 公式ブログ投稿は確認できなかった。外部発信は引き続き ML と GitHub に集約されている。

7. 今後の予定(2025 年 2 月末時点の視点)

2 月末時点で DADE CG が見据えていた当面の予定:

  • 2025 年 3 月初旬: 隔週定例会の継続(3 月 5 日水曜・3 月 21 日金曜の交互スロットを継続)
  • 2025 年 3 月 3 日: Authenticate 2025 CFP 締切。Dean Saxe と Mike Kiser によるパネル案投稿
  • 2025 年 3 月内: Cybersecurity Awareness Month 連動ホワイトペーパーの企画固め。OIDF ボードへの提案準備(具体的な締切設定は 3 月 21 日定例会で「初稿 3 月 28 日締切」として確定する)
  • 2025 年 4 月: IIW California への参加(Dean Saxe)。delegated authentication 関連のセッション企画
  • 2025 年 5 月: EIC(European Identity & Cloud Conference)
  • 2025 年 6 月: Identiverse パネル登壇。法律専門家のパネリスト確保が継続課題
  • 2025 年 10 月: Cybersecurity Awareness Month。ホワイトペーパー+短形ブログ公開目標
  • 継続課題:
    • Victor Lu の 3 階層ユースケースフレームワーク(Issue #27)の運用開始とコンテンツ充填
    • Eve Maler による「関係性のモデリング」book club 知見の発表
    • Mark Haine の OpenID Connect Authority claims 拡張仕様への DADE CG としてのフィードバック継続
    • Provider legacy mechanism の PR 持ち寄り運用の定着(#18)
    • Wiki Refactoring(#17)の実作業ボランティア確保
    • 「DADE」という名称見直しの是非
    • Identiverse パネル用法律専門家の確保

8. 参考情報源