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OpenID Foundation eKYC & IDA WG 活動レポート (2025年12月)

執筆日: 2026-04-21(遡及執筆)

本記事は 2025年12月の活動を 2026-04-21 時点の視点で遡及的にまとめたものです。

1. 概要

eKYC & Identity Assurance WG (eKYC-IDA WG) は、OpenID Connect を拡張して本人確認済みクレームの標準的な伝達方法を定義する Working Group である。WG 議長は Mark Haine、Naohiro Fujie、Hodari McClain。毎週水曜 15:00 UTC に定例コールを開催し、成果物のホスティングには Bitbucket (https://bitbucket.org/openid/ekyc-ida) を利用している。

2025年12月は、年末直前の 3 週間にわたって定例コールを実施し(12/3・12/10・12/17)、その後 12月18日から1月7日まで年末休暇に入った。主な活動テーマは以下の通りである。

  1. Identity Assurance Errata(ISO PAS 向け編集整理): PR #266〜#273 の作成・レビュー、および Issue #1501(住所例示に country_code が欠如)の継続審議
  2. Authority & Delegation(委任権限)仕様の初稿共有: Rachel O'Connell(TrustElevate)が「Delegated Authority for Digital Trust」の Google Doc 初稿を ML で公開し、Raidiam・TrustElevate のメンバーを含む共同編集体制を整備。12/17 の会合後には Bitbucket wiki へ移行された
  3. 金融/KYC レポート: Juliana Cafik が引き続き mDL プロファイルおよび KYC メタデータフレームワークの次フェーズ検討を推進
  4. AIIM(AI Identity Management CG)連携: タクソノミーサブグループのチャーターと GitHub リポジトリについて情報共有

2. 公開された仕様・ドラフト改訂

12月中に新たな仕様の正式公開やパブリックレビューの開始はなかった。

ただし、前月(2025年10月22日)に Bitbucket で公開された OpenID Connect for Identity Assurance 1.0 Draft 17 incorporating Errata Set 1 が引き続き参照されており、WG は Errata Set 1 の ISO PAS 化に向けた編集整理(PR #266〜#273)を精力的に進めていた。これらのPRは翌年1月初旬にマージされ、その後の会員投票(2026年2月11日予定)へと繋がった。

各種ドラフトの状況(2025年12月末時点)

仕様状況
OpenID Connect for Identity Assurance 1.0 Errata Set 1ISO PAS 編集整理中(PRs #266〜#273 レビュー段階)
OpenID Identity Assurance Schema Definition 1.0 Errata Set 1同上
OpenID Connect Advanced Syntax for Claims (ASC) 1.0Implementer's Draft 1 推薦に向けた内部調整中
OpenID Attachments 1.02025年6月に Final Specification 承認済み
Authority Claims Extension(委任権限)初稿作成中(Rachel O'Connell)

3. ミーティングと議論

2025年12月は計 3 回の定例コールが開催された。12月17日のコールをもって年末休暇(12/18〜1/7)に入ることが事前に告知されていた。

日付開催状況
2025-12-03開催(議題メールあり)
2025-12-10開催(議題メールあり)
2025-12-17開催(議題メールあり、会合後にWiki移行通知)

議事録は Bitbucket wiki(https://bitbucket.org/openid/ekyc-ida/wiki/)に公開される慣例だが、本稿ではメーリングリストの議題メールおよびスレッドから議論の流れを再構成している。

2025-12-03 定例コール

Mark Haine の議題メールから主要議題を抽出する。

External Organizations & Events

  • 2026年Q1の国際会議スケジュールを確認: ISO/IEC 会議(ニュルンベルク)・IETF 125(深圳)が追加

Identity Assurance Errata

  • ISO PAS 向け編集的 PR(#266〜#273)のレビューを継続
  • Issue #1501: 住所の例示に country_code が欠如している問題

Financial/KYC Report

  • Juliana Cafik による次フェーズ検討

Authority & Delegation

  • 委任権限に関するユースケース(法人と個人の関係、AI エージェントの委任)の議論
  • この会合でまもなく、Rachel O'Connell が委任権限仕様の初稿を ML で共有した(§4参照)

Conformance & Certification

  • 最終コンフォーマンスプロファイルの策定
  • ネガティブテスト要件の開発

Profiles & Registries

  • スキーマ定義とプロファイリングスコープ
  • 英国政府・NIST/NCCoE との対話(Pending 継続)

Implementer Clinic

  • 参加者からの実装質問セッション

2025-12-10 定例コール

12月3日と同じ常設議題を引き継いだ。委任権限仕様の貢献プロセスについて Rachel O'Connell からの提案(Google Docs の Suggesting モードによる管理)が Mark Haine に承認された。Raidiam(Wojciech Kotłowski・Lukasz Jaromin)と TrustElevate(Saad Lodhi)の追加コントリビューターが参加することになった。

2025-12-17 定例コール(年内最終)

年内最終のコール。12月3日の議題から続く常設議題を全て扱った。コール後、Mark Haine が ML にフォローアップを送信し、Rachel O'Connell("DrRach")の「Delegated Authority for Digital Trust」に関するコンテンツが Bitbucket wiki ページに移行されたことを通知した。


4. メーリングリストの主要スレッド

メーリングリスト(openid-specs-ekyc-ida@lists.openid.net)の2025年12月アーカイブでは、週別の以下スレッドが確認された。

eKYC and IDA WG Agenda 03-12-2025 — 2025-12-03 開始(スレッド: msg 000983〜000989)

Mark Haine による議題送付メールを起点とし、5件の返信が続いた。このスレッドで最も重要なやり取りは Rachel O'Connell による「委任権限仕様(Delegated Authority Spec)」の初稿共有である。

  • Rachel O'Connell(TrustElevate): Google Docs で「delegated authority spec のラフな初稿」を共有。Gail Hodges(OIDF エグゼクティブディレクター)がすでにレビュー済みで、木曜に議論予定と付記した
  • Rune Andreas Grimstad: 「読みました、素晴らしい仕事です!コメントと貢献はどのようにしたいですか?」と問い合わせ
  • Rachel O'Connell: Google Docs の「Suggesting モード(Word の変更追跡に相当)」で貢献を受け付けることを提案。Raidiam から Wojciech Kotłowski・Lukasz Jaromin、TrustElevate から Saad Lodhi(ソリューションアーキテクト)の追加を希望
  • Mark Haine: 「問題ない。まだ詳しくレビューする時間が取れていないが、本日の議題に入れる」と回答
  • Rachel O'Connell(12/10): 「了解、ありがとうございます!」と承認確認

このスレッドから、委任権限仕様が WG 内で公式に認知され、複数機関からの貢献者を迎えて共同編集フェーズに入ったことがわかる。

eKYC and IDA WG Agenda 10-12-2025 — 2025-12-10

Mark Haine による12月10日の議題メール(単独)。委任権限の貢献者拡大を含む先週の続きの議題を列挙。ISO PAS 向け PR の進捗(PR #266〜#273)と Issue #1501 のレビューを継続。

eKYC and IDA WG Agenda 17-12-2025 — 2025-12-17(スレッド: msg 000990〜000991)

Mark Haine が年内最終の議題を送付(12:01 UTC)。夕刻(20:43 UTC)には短いフォローアップとして「DrRach のコンテンツが Bitbucket の Wiki ページとして公開された」と通知した。これにより委任権限仕様の初稿が Bitbucket に正式に移管され、年明けの WG 活動への引き継ぎが完了した。


5. GitHub / Bitbucket 上の議論

eKYC-IDA WG の成果物は主に Bitbucket (https://bitbucket.org/openid/ekyc-ida) で管理されている。

ISO PAS 向け編集的 PR(#266〜#273)

2025年12月中に作成・レビューが進んだ ISO PAS 向け編集的プルリクエスト群(作成者: Hodari McClain)。これらはいずれも翌2026年1月7日に Mark Haine によってマージされた。PR の内容は、OpenID Connect for Identity Assurance 1.0 および OpenID Identity Assurance Schema Definition 1.0 を ISO/IEC PAS フォーマットに適合させるための編集整理である(Abstract・Acknowledgments・Notational Conventions 節の削除、参照フォーマットの調整等)。

PR#内容(概要)
#266IDA 仕様の編集修正(Hsm/fix 1478)
#267IDA 側の謝辞節(Acknowledgments)削除
#268IDA 側の抄録(Abstract)削除
#269Schema 仕様の編集修正(Hsm/fix 1483)
#270OIDC 参照を ISO 仕様参照へ更新
#271Schema 側の謝辞節削除
#272Schema 側の抄録削除
#273表記規則(Notational Conventions)節の削除

Issue #1501 — 住所例示における country_code の欠如

継続中の技術議論。 Errata Set 1 の核心的論点として、12月のすべての定例コールで扱われた。住所クレームの JSON 例示に country_code フィールドが含まれていない問題で、仕様の一貫性を確保するための対応方針が検討されていた。

Bitbucket wiki への委任権限仕様の追加(12/17 会合後)

12月17日の定例コール終了後、Rachel O'Connell の「Delegated Authority for Digital Trust」Google Doc の内容が Bitbucket wiki ページに移管された。これにより WG 管理下のリポジトリでの共同編集が可能となった。


6. 関連イベント

年末休暇の告知(12/17〜1/7)

12月17日の議題に「ホリデーブレイク:12月18日〜1月7日」が明示された。これに基づき、1月8日(水)の定例コールが2025年最後の会議の翌週から再開されるスケジュールとなった。

ISO/IEC および IETF 125 の日程確認

12月の議題では、2026年Q1の国際会議スケジュールとして以下が確認された。

  • ISO/IEC 会議: ニュルンベルク(ドイツ)、2026年3月
  • IETF 125: 深圳(中国)、2026年Q1

eKYC-IDA WG の仕様は ISO PAS 化を視野に入れており、ISO/IEC 会議はこれらの仕様の国際標準化プロセスに直結する。


7. 今後の予定

2025年12月末〜2026年1月以降に予定されていた主な動き(対象月完了直後の視点):

  • 年末休暇: 2025年12月18日〜2026年1月7日
  • 定例コール再開: 2026年1月7日(水)
  • ISO PAS 向け PR(#266〜#273)のマージ: 2026年1月初旬に完了予定
  • Identity Assurance Errata Set 1 の継続審議: Issue #1501 の解決を含む
  • 委任権限(Authority)仕様の Bitbucket 上での共同編集: Raidiam・TrustElevate の参加者が加わった体制での作業開始
  • Advanced Syntax for Claims (ASC) 1.0 の Implementer's Draft 1 推薦に向けた最終調整
  • Juliana Cafik の mDL/KYC メタデータフレームワークの次フェーズ継続

8. 参考情報源